ロコ・ソラーレ、銀にも悔しさ 「またここから始まる」

カーリング女子決勝・日本対イギリス。第9エンドを終え、日本がコンシード。引き揚げる(左から)吉田夕梨花、吉田知那美、藤沢五月、鈴木夕湖=20日、国家水泳センター(彦野公太朗撮影)
カーリング女子決勝・日本対イギリス。第9エンドを終え、日本がコンシード。引き揚げる(左から)吉田夕梨花、吉田知那美、藤沢五月、鈴木夕湖=20日、国家水泳センター(彦野公太朗撮影)

第9エンド。英国のスキップ、ミュアヘッドの最後のショットが円心付近で止まり、2点が入った。ここまでだった。日本のロコ・ソラーレは負けを認める「コンシード」を宣言した。北京冬季五輪最終日の20日行われたカーリング女子決勝は3-10。「こんなに悔しい表彰台ってあるんだ」。前回平昌五輪の銅を上回る銀メダルにも、スキップの藤沢の表情は硬かった。

初めての決勝は、精度の高いショットを繰り出す英国に主導権を握られたまま終わった。1-3ながら有利な後攻で迎えた第5エンドは、英国に中心に石をためられた末、1点スチールを許した。第7エンドはミュアヘッドが最終投で自らの石に当て、玉突きで日本の石をはじき出す技ありのショット。決定的な4点を奪って2-8とし、試合の流れを決めた。

スイスに快勝した18日の準決勝ではともに80%を上回った藤沢とサードの吉田知のショット成功率は、それぞれ69%と64%。90%に迫る好調ぶりだった英国の2人と対照的だった。藤沢は「最後の最後で決めきれず、相手にプレッシャーをかけることができなかった」と残念がった。

観客席から見た平昌五輪決勝が、この日の原点だった。日本カーリング界初の銅メダルに輝いた喜びは、頂点を争う場に立てなかった悔しさに変わった。決勝の舞台を目指してそれぞれが個々の力を伸ばし、チームのコミュニケーションもさらにこまやかになった。

チームは粘り強さが増し、昨年9月の日本代表決定戦は2連敗から3連勝の逆転劇につなげた。12月の五輪世界最終予選も互いに支え合い、出場権を勝ち取った。今大会は1次リーグ5勝4敗と首の皮一枚で進んだ準決勝に快勝。4年間の成長を結果で示した。

それでもまだ上がある。吉田知は宣言した。「誰一人として満足していない。私たちはまた今日、ここから始まる」。笑顔の裏には鋼の意志がある。敗れた決勝から、ロコ・ソラーレの次の物語が始まる。(橋本謙太郎)

>カーリング日本、銀メダル 英国に3-10 

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