サッカー通信

川崎3連覇のカギ握るか 〝タイのメッシ〟チャナティップ「子供たちに夢を」

【川崎―FC東京】競り合う川崎のチャナティップ(左)とFC東京の松木。タイの英雄は川崎3連覇のカギとなるか=18日、等々力
【川崎―FC東京】競り合う川崎のチャナティップ(左)とFC東京の松木。タイの英雄は川崎3連覇のカギとなるか=18日、等々力

J1川崎に今季加入したタイ人のMFチャナティップの沖縄キャンプに合流する様子が生配信された1月26日のこと。川崎のインスタグラムのコメント欄は、地元の〝英雄〟を賛美するタイ語で埋め尽くされた。1月に決勝が行われたAFFスズキカップ(東南アジア選手権)では、主将としてタイ代表を優勝へ導いたヒーロー。インスタグラムのフォロワー数は220万人を優に超える。母国での絶大な人気の一端が垣間見えた瞬間だった。

4歳でサッカーを始め、2017年にタイ人初のJリーガーとして札幌に入団した。技術の高さと機動力、そして愛嬌のある性格で日本のサッカーにすぐになじんだ。18年に8得点を挙げ、東南アジア選手初となるベストイレブンを受賞。158センチというサッカー選手では小柄な体格やプレースタイルなどから、「タイのメッシ」の異名を取る。

5シーズンを過ごした北の大地を離れるのは「難しい決断だった」と顔をしかめる。ただ、愛着を振り払ってでも「選手としてもう一段、ステップアップしたい」という思いが常勝軍団への移籍を後押しした。

チームは今季リーグ3連覇と悲願のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)制覇に挑む。今オフに欧州へ渡った旗手(セルティック)の穴埋めはもちろん、鬼木監督は「見ている人やチームメートに驚きや刺激を与え、一段階上のアイデアが出てくるチームになっていければ」と大きな期待を寄せている。

18日のFC東京とのJ1開幕戦は前から2列目の左サイドで先発し、テクニシャンの片鱗(へんりん)を見せた。まずは前半6分、マルシーニョへの鋭い縦パスでチャンスメーク。同34分にはペナルティーエリア外から、ゴール前へ絶妙な浮き球を送った。いずれも得点にはつながらなかったが、中盤で幾度も攻撃の起点となった。激しく体を寄せられても、ひらりとかわしてボールは渡さない。大物ルーキー松木とのマッチアップは、意気盛んにボールを奪いに来る18歳に経験の差を見せつけた。

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