菊池さんによると、マナティーは生息地によって、アマゾンマナティー、ウエストインディアンマナティー、アフリカマナティーの3種に分類される。日本には生息していないが、熱川バナナワニ園(静岡県)や鳥羽水族館(三重県)などで、展示されているマナティーを見ることができる。
とはいえ、日本に生息していないマナティーの生態を学ぶ意義は何だろうか。菊池さんは、「マナティーをきっかけにして、海や生き物の魅力を知ってもらえれば」と話す。
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菊池さんが開催するワークショップで配っているパンフレットはデザイン性を意識し、マナティーの絵はどれもかわいらしい。「保全を訴えるお説教くさい教材ではなく、マナティーの魅力が伝わるものにしたかった」と菊池さん。「生き物って面白いなとか、海って好きだなと思う気持ちが芽生えてくれれば、おのずと環境を大切にしようと思ってくれるのでは」
パンフレットには最新の研究内容が正しくまとめられており、「図鑑にも載っていない情報が満載です」と胸を張る。マナティー研究所の公式サイトでは2月から、マナティーの保全活動が学べるオリジナル教材を無料で公開している。
3月には、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として行われる、生き物の生態や研究を紹介する一般向けの科学イベント「海牛祭り」をオンラインで開催する。菊池さんは「楽しみながら学んでもらえれば」と呼びかけている。
(浅上あゆみ)