恐怖心越え大技に挑んだ2度目の五輪 スノボ鬼塚

北京五輪2022・女子スノーボードビッグエア決。3本目を飛ぶ鬼塚雅=15日、首鋼ビッグエア競技場(桐原正道撮影)
北京五輪2022・女子スノーボードビッグエア決。3本目を飛ぶ鬼塚雅=15日、首鋼ビッグエア競技場(桐原正道撮影)

信じた技にこだわった2度目の五輪だった。逆スタンスで回転軸を斜めにして縦2回転、横3回転半する「キャブダブルコーク1260」。スノーボード女子のスロープスタイルとビッグエアに出場した鬼塚雅(星野リゾート)の代名詞といえる技だ。昨年1月に、女子では世界で初めて実戦で成功させた。

スロープスタイルは予選落ちし、迎えた15日のビッグエア決勝。1回目から挑戦したが回転が足りず、正面から雪面にたたきつけられた。顔から血を流し、相当な恐怖心に襲われたことだろう。それでも、2回目も果敢に挑んだ。「着地できなかったけど、五輪で挑戦できて幸せ」。結果は11位だったが、命運を託した技で戦い抜けたことを誇った。

「恐怖心しかない」。大技に取り組む気持ちを、そう吐露したことがある。練習では怖さを乗り越えるため、滑る前に意識的に笑うようにした。「少し恐怖心が減った。顔だけでも笑っていたら、脳が錯覚すると思って」。葛藤の末に手にした勝負技だった。

不思議と五輪には縁がない。メダル候補と目された前回の平昌五輪ではビッグエアは8位、スロープスタイルは19位に終わり、「五輪、あまり好きじゃない」と話した。世界選手権や世界のトッププロが集まる冬季Xゲームでは結果を出しており、「4年間でメダルをとれていないのが五輪だけ」と自虐的に話す。

平昌後は4年後を目指すのではなく、自らの滑りを高めることを考えて細部を見直した。用具やトレーニング法はもちろん、大学の卒業論文では自らの食生活を題材にし、改善してきた。「4年後がすごく遠く感じた。変えなかったら、もう(五輪を)目指していなかったかもしれない」

ビッグエアは、ただ一人キャブダブルコーク1260を成功させたアナ・ガサー(オーストリア)が優勝した。鬼塚の挑戦が間違いではなかったことが証明された。(小川寛太)

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