歴史に名を刻んだ。バイアスロンの最終種目となった18日の男子15キロを制したヨハンネスティングネス・ベー(ノルウェー)は、今大会で金4、銅1のメダルを獲得。同競技で1大会に4個の金メダルに輝くのは、同郷のオーレアイナル・ビョルンダーレンと並び最多だ。「バイアスロンの最も偉大な王と並べた意義は大きい。本当に誇りに思う」とはにかんだ。
困難を克服し、2週間の激闘を乗り切った。大会前に新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者と判断された。初戦だった5日の混合24キロリレー前はチームから離れホテルで調整を強いられたが、前回平昌五輪で敗れたフランスに雪辱を果たす金メダル。勢いを付け、12日の10キロスプリント、15日の男子30キロリレーを制した。
2018~19年シーズンに初のワールドカップ(W杯)総合王者となり、3季連続で頂点に立ち続けた。その模範はすぐ側にいた。幼少期からサッカーに親しんだが、兄タリヤイの影響でバイアスロンを始めた。10キロスプリントでは自身が金、タリヤイが銅。「彼と競い合ったから、どんなレースでもきついとは思わなかった。本当に幸せだ」と5歳上の〝戦友〟を見てほほ笑んだ。
バイアスロンはノルウェーのお家芸だが、平昌五輪は金1個に終わった。「五輪の王になりたい」。大会前にこう話していた28歳が宣言通り、〝冬の王国〟のプライドを体現してみせた。(五十嵐一)