児童相談所(児相)の判断のみで一時保護対象の子供を親から引き離し、面会も制限する現行の制度は不当な人権侵害に当たるとして、大阪市内に住む30代女性と一時保護された長女(9)の親子2人が、国に計160万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こしたことが18日、分かった。この日の第1回口頭弁論で国側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。
訴状などによると、令和2年7月、大阪市の児相が「左腕と顔にあざがある」として、児童福祉法に基づき長女を一時保護。その後5カ月以上にわたり、親子は面会できなかった。女性は「あざはきょうだいげんかでできた」と児相に説明していたという。
原告側は、裁判所の審査を経ずに児相が親子を引き離すことは、個人の尊重や幸福追求権を定めた憲法13条に違反し、日本が平成6年に批准した「児童の権利条約」にも抵触すると主張。また、国会が一時保護に裁判所を関与させるための法律を制定する義務を怠ったことは、違法などと訴えている。
厚生労働省の審議会は今月、親の同意なく子供を一時保護する場合には、裁判官が出す「一時保護状(仮称)」を必要とすることなどを盛り込んだ制度改正案をまとめている。