山口・下関市当初予算案1190億円 「積極財政」へ

令和4年度当初予算案を発表する山口県下関市の前田晋太郎市長=同市役所
令和4年度当初予算案を発表する山口県下関市の前田晋太郎市長=同市役所

山口県下関市は18日、一般会計を前年度比4・8%増の1190億円とする令和4年度当初予算案を発表した。新型コロナウイルス対策の関連経費や建設事業費の増加が歳出規模を押し上げた。財源不足を補う基金は一定額、取り崩すものの「財政健全化の道筋が見えてきた」として、将来の発展に向けた「積極財政」にかじを切った。3月2日開会の市議会定例会に予算案を提出する。

新型コロナ対策関連事業費は48億8100万円を計上。そのうち宿泊療養事業に14億3600万円、ワクチン接種事業に14億8千万円を付けた。「ポストコロナ」を見据えた地域経済の活性化策として、商店街などの空き店舗解消事業に2600万円を投じ、店舗の賃料や改修費などの補助限度額を拡充する。

2期目を迎えた前田晋太郎市長の肝いり施策も本格化する。市立大学の総合大学化の推進に2億2200万円を盛った。「データサイエンス学部(仮称)」と「看護学部(同)」の設置に向けた設計や調査を行う。火の山地区の観光施設再編整備事業には1億1300万円を充てる。

同市内での新たな捕鯨母船の建造が決まったことを受け、捕鯨業者に対し建造費の一部を助成する。最大3億円で、4年度はそのうち1億円を補助する。JR下関駅近くに建設予定のマンションや店舗などの複合ビルに対しても建設費用の一部を助成するため4800万円を盛った。

待機児童対策として、私立保育所、認定こども園に対し保育士の新規雇用にかかる費用の一部を助成する新規事業も始める。1人当たり60万円を上限に、4年度は事業費として1200万円を充てる。

歳入は、市税が企業業績の回復などで前年度比0・9%増の328億円を見込む。新たな基金を創設し、ボートレース事業収益から14億円を繰り入れる。財源不足を埋めるため財政調整基金を15億円取り崩す。

一般会計の規模は前田市政下では最大となる。前田氏は記者会見で「市長就任後、これまでは赤字体質からの脱却に取り組んできた。いよいよ未来に向け種をまく準備が整った」と述べ、守りから攻めへ転じる姿勢を強調した。

財政調整基金の残高はしばらく減少傾向が続いていたが、令和3年度は前田氏が平成29年に市長就任後、初めて増加に転じた。4年度は地方交付税が当初の想定を下回る見通しとなったことなどから再び減少する見込みだが、前田氏は「財政体質は健全になってきていることに変わりはない」と強調する。

主要な建設事業の本格化によって今後も歳出規模は拡大する見通しだ。厳しい予算編成が続くことも予想されるが、前田氏は「(残りの任期)3年間で花を咲かせる」と意気込む。(小沢慶太)

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