iPS網膜治療「大きくバージョンアップした」 神戸の病院が会見

新たなiPS臨床研究について説明する神戸アイセンター病院の研究チーム(同病院提供)
新たなiPS臨床研究について説明する神戸アイセンター病院の研究チーム(同病院提供)

人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作製した網膜の細胞を「ひも状」に加工し、網膜の病気の患者に移植する新たな臨床研究について17日の厚生労働省の作業部会で実施を了承された神戸市立神戸アイセンター病院の研究チームは18日、オンラインで記者会見を開き「従来の方式より大きくバージョンアップした。早く多くの患者に届けたい」などと意気込みを語った。

計画は、網膜の最も外側にあって網膜全体に栄養を与える「網膜色素上皮」に異常が生じ、ものを見る力が衰えた網膜色素上皮不全症の20歳以上の患者50人が対象。チームは「iPS細胞から作った網膜色素上皮の細胞を、長さ約2センチの細いひも状に加工して患者の網膜に移植し、計4年間の経過観察で安全性と有効性を確認する」と説明した。

iPS細胞を利用し網膜の病気の患者を治療する臨床研究では、移植する細胞はこれまで液体に浮遊させた「懸濁(けんだく)液」か、シート状に加工したものが使われてきたが、ひも状は初めて。

懸濁液は、作製しやすいが、ばらばらの状態の細胞が移植後に死滅せず定着する比率が低い。一方、細胞がくっつき合うシートは移植後も生き残りやすいが作製に手間と時間がかかる。同病院の栗本康夫院長は「ひも状細胞は、定着する可能性が高く作りやすい点が優れている。今回は大きくバージョンアップした臨床研究になる」と話した。

新型コロナの影響で、最初の移植手術の実施時期は未定だが、栗本院長は「ひも状細胞は移植後も観察しやすいため、患者も医師も非常に安心して治療を進めていける。安全性や有効性を慎重に確認して、治療を願う多くの患者に早く届けたい」と意欲を語った。

同病院は昨年3月、iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞の懸濁液を、同じ病気の患者50人に注射する臨床研究の最初の移植手術を実施しているが、今後は中止して、ひも状細胞での臨床研究に軸足を移す。

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