複合団体銅 次世代に「成功体験」 「新しい日本の幕開け」

ノルディックスキーの複合男子団体で銅メダルを獲得し、日の丸を掲げて喜ぶ(左から)渡部善斗、永井秀昭、渡部暁斗、山本涼太=張家口(共同)
ノルディックスキーの複合男子団体で銅メダルを獲得し、日の丸を掲げて喜ぶ(左から)渡部善斗、永井秀昭、渡部暁斗、山本涼太=張家口(共同)

17日に行われた北京冬季五輪のノルディックスキー複合男子団体で、28年ぶりに獲得したメダルは、日本複合界の世代交代に大きな一歩になりそうだ。

後半の距離で、各国の走力自慢がそろった4番手は24歳の山本が担った。オーストリアと僅差の2位で走り出すと、個人ノーマルヒルを制したガイガー(ドイツ)を含めた三つどもえの2位集団になった。

終盤になってガイガーがスパート。「後ろに付いていけば何かが起こる」と山本は食らいついた。オーストリアが後退する中、金メダリストとのスプリント勝負でも見劣りせず、0・3秒差で3位に。河野ヘッドコーチは「最後は信じられなかった」と驚き、本人は「3人の先輩がつないでくれたからこそ、メダルを獲得する瞬間を体験させていただいた」と喜んだ。

山本は、昨年1月のワールドカップ(W杯)で初めて表彰台に上がるなど成長著しい。得意の飛躍を武器に走り方も見直し、世界で戦えるようになった。「若い選手が速くなっている。選手の育て方はうまくいったかな」と河野ヘッドコーチ。団体戦はメンバー漏れした21歳の谷地宙(やちそら)(早大)もノーマルヒルに出場し、五輪の舞台を経験。渡部暁は「次に向かって頑張ってもらう意味でも、何か持って帰るのは重要」と、メダリストが受け取るマスコット人形を谷地に渡した。

日本は五輪と世界選手権で、団体のメダルが2009年以降なかった。当時20歳でメンバーだった渡部暁は「自分でも成功することがあるという体験は、その後の成長につながった」と振り返る。自らの探求心を競技の英語名「コンバインド」をもじった「コンバイン道」と呼び、日本の複合界を10年以上引っ張ってきた。

個人では五輪で3大会連続メダルを獲得。「現状維持は後退でしかない」と常に高みを目指し、失敗や成功を繰り返しながら「暁斗頼み」とも言われてきた代表チームに、自らの経験を還元してきた。

正々堂々戦う姿勢も貫き、昨季遠征で同部屋が多かった弟の渡部善には「筋が通ったことをやる選手は強い気がする」と伝えた。「彼の境地に達してみえるものは、真実なのかなと思う」と渡部善。若い力も加わって手にした団体銅メダルに、渡部暁は「次につながっていく選手がこういう気持ちを感じられたのはよかった」と笑った。

渡部暁は今大会を金メダル獲得に全力を注ぐ最後と位置づけ、永井は今大会で五輪を去る考え。自身も団体で結果が出ない時期を支えてきた永井は「頼もしい後輩が育ってきている。新しい日本チームの幕開け」と、メダルの意義を強調した。(小川寛太)

>複合男子団体3位 28年ぶりメダル獲得


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