15日に行われた北京五輪スピードスケート女子団体追い抜きで、惜しくも連覇を逃した日本。ゴールまで残り約60メートルで転倒し、悔しさに号泣する高木菜那(29)=日本電産サンキョー=に、妹の高木美帆(27)=日体大職=が寄り添う姿が印象的だった。
表彰式では再び涙があふれた姉の頭をそっと抱き寄せた。記者会見では「(責任を)背負う必要はないと思うが、本人はそうはいかないと思う」と気持ちを代弁。前回の平昌(ピョンチャン)大会の同種目では姉妹で金メダルを獲得。ともに歓喜を分かち合ったからこそ、心の痛みを共有することができた。
姉も最後には笑顔を取り戻し、五輪2連覇がかかる19日の女子マススタートに向け、気持ちを切り替えている。妹も今大会の5種目挑戦の締めくくりとなる17日夜の女子1000メートルで金メダルを目指す。
高木姉妹に限らず、北京五輪では兄弟、姉妹が同時出場し、活躍するケースが目立っている。6日のノルディックスキージャンプ男子個人ノーマルヒルで金メダルを獲得した小林陵侑(りょうゆう=25)=土屋ホーム=も兄の潤志郎(30)=雪印メグミルク=と同時出場。弟が金メダルを獲得した瞬間には兄が真っ先に駆け寄って抱擁を交わし、祝福した。
スノーボードの男子ハーフパイプでは兄の平野歩夢(あゆむ=23)=TOKIOインカラミ=が金メダルを獲得し、弟の海祝(かいしゅう=19)=日大=が9位。海祝は「みんなが見ていないところでも努力していたのが兄ちゃんだった」と話し、4年後に向けて「次は兄ちゃんと一緒にメダル」と新たな誓いを立てた。
ほかにもアイスホッケー女子には大阪出身の山下光(21)、栞(19)=ともに西武=ら姉妹が3組、連日熱戦を繰り広げているカーリング女子、ロコ・ソラーレの吉田知那美(30)、夕梨花(28)も姉妹だ。昨夏の東京五輪でも柔道の阿部兄妹、レスリングの川井姉妹がそろって金メダルを獲得。同じ種目で競い合う兄弟、姉妹の関係がときにはライバルとして比較されるが、同じ高みを目指す仲間であり、何より家族でもある。大舞台ではその存在が大きな心の支えになる。