「やり遂げることはできた」小平10位、滑り追求

女子1000メートルのレースを終えた小平奈緒=北京(共同)
女子1000メートルのレースを終えた小平奈緒=北京(共同)

500メートルに続き、1000メートルもメダルに届かず10位に終わったスピードスケート女子の小平奈緒(35)。「成し遂げることはできなかったが、やり遂げることはできた」と、自身を納得させるように語った。

飽くなき探求心で進化を続け、頂点を極めた2018年の平昌大会。その後は不調に苦しんだ4年間だったが、そこで見いだしたのが「葛藤を面白み、やりがいに変えること」だった。

股関節や腰の違和感に悩まされ、20年には国内大会で約5年ぶりの敗戦も経験した。「年齢もあり、以前よりも疲労が体に表れやすくなった。(以前と)同じような記録を目指すのは並大抵のことではない」。小平が中学時代から通っている「東洋リハビ はり灸・マッサージ治療院」(長野県南箕輪村)の有賀大祐さん(48)はこう語る。

低迷を乗り越えるために選んだのはシーズン中に氷上を離れるという異例の決断。体を作りなおすため陸上でトレーニングに明け暮れ、自転車をこぎ続けた。

ここでも下を向かず、全てを面白がった。下半身を中心に全身の筋肉を使うため、多くのスケート選手が使う自転車だが、小平は誰よりも走ること自体に喜びを感じていた。

「Altijd blijven lachen(いつも笑顔を)」。愛車のロードバイクに刻まれたオランダ語のメッセージだ。小平が10年以上利用するスポーツバイク専門店「BIKE RANCH」(長野県松本市)の立道国一さん(34)は「故障してからは、特にトレーニングとしての道具としてだけでなく、純粋に楽しんでいた」と指摘する。

小平の中学、高校時代の指導者、新谷純夫さん(72)はいう。「本人が追求してきたのは、スケートの楽しさや、氷と仲良くなるということ」

この日、スケートを心から楽しもうとスタートを切ったという小平。集大成の滑りを終えると、自分自身をたたえるように、小さく手をたたいた。「感謝の気持ちを持って滑ることができたので、良かった」。レース後は、穏やかな表情でこう語った。

(本江希望)

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