芸術のある生活

癒しの音楽1時間 バス歌手の松森治氏

「癒しを感じてもらいたい」と話す松森治氏
「癒しを感じてもらいたい」と話す松森治氏

一流のアーティストによる音楽を手ごろな価格で楽しむことができる県立びわ湖ホールのコンサート「気軽にクラシック」が19日に開催される。今回はびわ湖ホール声楽アンサンブル・ソロ登録メンバーでバス歌手の松森治氏が登場。同ホールのオペラではおなじみの松森氏の迫力ある美しい歌声をたっぷり1時間堪能できる。「音楽の持つ優しさや癒やしを感じてもらいたい」と話す松森氏に意気込みなどを聞いた。

今回のプログラムは松森氏自身が構成し、多彩なジャンルの曲目を用意した。ヘンデルのオペラ「セルセ」の名曲「オンブラ・マイ・フ」から始まり、「ドン・キホーテ」の「我は遍歴の騎士」などバスの魅力を存分に引き出す曲を次々と披露。オペラのみならず、「詩の内容や世界観を味わってほしい」(松森氏)とやなせたかし作詞、木下牧子作曲の「海と涙と私と」や、寺山修司作詞、信長貴富作曲の「ぼくが死んでも」など日本の歌曲作品も盛り込んだ。

さらに、黒人霊歌「しずかに揺れよ、懐かしのチャリオット」やチャプリンの映画「モダン・タイムズ」の「スマイル」など、バラエティーに富んだラインアップで訪れた人を楽しませる工夫を随所にちりばめる。

♪身近な特別の舞台

心に力強く響く歌声で、同ホールのオペラには欠かせない存在の松森氏だが、「今回は声のすごみを聴いてもらうというよりは、お客さんに優しい気持ちになってもらいたい」と話す。音楽が人々の癒しとなることを願い、19日の舞台に立つ。

松森氏は同ホール声楽アンサンブル出身で、現在は栗東市在住。これまで数々の名劇場で歌ってきたが、びわ湖ホールでの舞台は自身にとって特別だという。

「駆け出しの20代のころから経験を積ませてもらった。自分の演奏のキャリアを一番作ってもらった場所。ほかのホールよりも身近に感じますね」

先月末には、びわ湖ホール芸術監督、沼尻竜典氏のオペラ「竹取物語」に出演し、かぐや姫や国の未来へ思いをはせる帝役を熱演した。今回のプログラムにも「帝のアリア」を盛り込んでおり、先月末の公演について、「未来を明るく、前向きにしていこうという終わり方で、とても印象に残っています」と振り返る。

♪トークも交えて

ひとつひとつの舞台を大切に、心を込めて歌ってきた。新型コロナウイルスの感染拡大以降はその思いが一層強くなったと明かす。

感染防止対策として、練習ではマスクをつけるようになるなどこれまで当たり前だった環境が一変。マスクをつけたままの練習で〝酸欠状態〟になることもめずらしくないという。さらに予定されていた舞台が中止となることもあった。

「だからこそ、コンサートが再開したときの喜びは大きかった。みんなと一緒に練習したり、お客さんと同じ空間で音楽を分かち合ったりすることがすごく新鮮に思えた」

今回はトークも交えての1時間のコンサートとなり、気合も十分。「このコンサートのコンセプトもそうだが、もっと身近にクラシックなどの音楽を感じてもらいたい。今後も良い意味で気軽に音楽を楽しんでもらえるような活動をしていきたい」と意気込んでいる。

一般千円。問い合わせは同ホールチケットセンター(077・523・7136)。(清水更沙)

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