電気料金高止まり… 大手は上限到達で契約見直しも

石油や液化天然ガス(LNG)などの資源価格の高騰を受け、大手電力の家庭向け電気料金が高止まりしている。燃料費の変動を電気料金に反映する仕組みがあるためで、資源高のあおりで4月分の料金も高値が維持される見通しだ。大手以外の電力会社も値上がりする傾向で、契約の見直しを考える世帯が増えているという。

電気料金は、発電の7割以上を占める火力発電の燃料となる原油やLNGの平均輸入価格を基に毎月見直されている。大手電力10社のうち7社が4月の料金が3月に比べて上昇する見通し。標準的な家庭の電気料金で値上げ幅が最も大きいのは中部電力の127円。大手電力関係者によると、顧客から「どうしてこんなに高いのか」と、問い合わせが増えているという。

燃料費の反映は、消費者保護のため上限があり、変更には経済産業省への申請が必要。すでに北陸電力、関西電力、中国電力などが到達しており、新たに四国電力と沖縄電力が上限に達する。超過分は電力会社の負担となるが「資源価格の先行きが見通せず、値上げ申請に向けて動きにくい」(関係者)のが実情だ。

また、契約する電力会社を見直す動きも活発化している。電気料金比較サイトを運営する「エネチェンジ」によると、今年1月時点でサイトへのアクセス数は昨年9月から約1・8倍に増加。「暖房を使い始める時期以降、料金を気にして検討する機運が高まっている」(広報)。ただ、大手以外の新電力会社も燃料費の動きを反映する仕組みを取っているケースは少なくない。自前の発電所を持たない一部新電力は「日本卸電力取引所(JEPX)」から電力を調達するため、料金は市場動向を反映して、変動幅は大きくなる。

緊迫するウクライナ情勢でロシアから欧州への天然ガス供給に影響が出るとの懸念が資源価格上昇に拍車をかけており、三菱UFJ銀行の土屋祐真シニアエコノミストは「当面は高止まりが続くとみられ、さらに上昇する可能性も排除できない」と指摘する。(岡本祐大)

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