iPS網膜治療 「ひも状」細胞移植を厚労省部会が了承

人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った網膜の細胞を「ひも状」に加工し、目の難病患者などに移植する神戸市立神戸アイセンター病院の新たな臨床研究計画について、厚生労働省の作業部会が17日、実施を了承したことが分かった。従来の手法と比べ細胞を迅速に作製でき、移植後も定着しやすい利点があるという。

対象は、網膜の最も外側にあり、網膜全体に栄養を与える役割を担う「網膜色素上皮」に異常が生じ、ものを見る力が衰えた網膜色素上皮不全症の20歳以上の患者50人。京都大が備蓄するiPS細胞から網膜色素上皮の細胞を作製し、微細なひも状に加工。患者の網膜に移植して、4年間にわたり経過観察し、安全性と有効性を確認する。

同病院などの研究チームはこれまで、iPS細胞から作った網膜色素上皮の細胞をシート状に加工したものや、液体に浮遊させた「懸濁(けんだく)液」を目の病気の患者に移植する臨床研究を実施しているが、ひも状での移植は初めて。

懸濁液は、ばらばらの状態の細胞が移植後に死滅せず定着する比率の低さが課題で、シートは細胞がくっつき合うため移植後も生き残りやすいが作製に手間と時間がかかる。そこで、ひも状に加工することで定着率の向上と迅速な作製を両立し、課題解決を目指す。

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