果敢に挑んだ3回転半 スノボ鬼塚に「胸張って帰ってきて」

スノーボード女子ビッグエア決勝で、3本目を終えて手を振る鬼塚雅=15日、首鋼ビッグエア競技場(彦野公太朗撮影)
スノーボード女子ビッグエア決勝で、3本目を終えて手を振る鬼塚雅=15日、首鋼ビッグエア競技場(彦野公太朗撮影)

故郷から遠く離れた「ホームマウンテン」が挑戦を見守った。15日の北京五輪スノーボード女子ビッグエアで、表彰台が期待された鬼塚雅(みやび)(23)は11位に終わった。ただ最後まで攻撃的な姿勢を捨てず、成長の爪痕を残した。「胸を張って帰ってきて」。関係者は温かい言葉でねぎらった。

鬼塚が国内の練習拠点とするスキー場「アルツ磐梯(ばんだい)」は、出身地の熊本県から直線距離で約千キロ離れた福島県磐梯町にある。小学1年のとき、同地であった子供向けスノーボード教室に参加。指導した2002年ソルトレークシティー五輪代表、橋本通代(みちよ)さん(49)の第一印象は「線が細く、声も小さい控えめな女の子」。

しかし、いったんボードに乗ると技術もさることながら、身のこなしにずばぬけたセンスを感じさせた。わずか8歳で大手スノボ用品メーカーとスポンサー契約を締結。橋本さんは「大人顔負けの格好良さがあった」と振り返る。

一方、競技レベルが向上するにつれ、課題も見え始めた。橋本さんは修練の拠点となる「ホームマウンテン」を持つよう鬼塚にアドバイス。その意図は「いつでも帰れて、そこの人が全力で応援してくれる。そういう場所が雅の力になると思った」。

平成29年にはアルツ磐梯を運営する星野リゾートと所属契約を結んだ。2018年平昌(ピョンチャン)五輪のシーズンからは、ビッグエアの練習ができるジャンプ台などを設置した専用練習コース「Miyabi Park(ミヤビパーク)」を造成。手厚いバックアップに、鬼塚は「福島に来るとすごく落ち着く」とほおを緩める。

絶対にメダルを―。15日の決勝。1本目から空中で3回転半する大技に挑んだ姿勢に、悲壮な覚悟を感じさせた。メダルには届かなかったが、橋本さんは「思いの強さを感じた。感動をもらえる滑りだった」とたたえた。

「アルツは雅が雅らしくいられる場所。帰ってきたら、背負ってきたものから解放され、純粋に自分のために滑る時間を持ってほしい」と橋本さん。温かく迎え入れてくれるホームマウンテンの存在が、次の挑戦への背中を押すはずだ。(花輪理徳)

競技一覧

会員限定記事会員サービス詳細