落ち込むカラオケ、テレワークが救う 気軽な個室需要

店頭にテレワークサービスの案内を掲出しているカラオケ店「ビッグエコー八重洲本店」=東京都中央区(青山博美撮影)
店頭にテレワークサービスの案内を掲出しているカラオケ店「ビッグエコー八重洲本店」=東京都中央区(青山博美撮影)

新型コロナウイルス禍で大きな打撃を受けているカラオケ店が、テレワーク施設としての利用拡大を進めている。駅前に立地し利便性が高いカラオケ店は、防音や換気などの設備が整った個室という点でテレワークに向いており、テレワーク需要が拡大している。各社とも専用の料金プランを設けたり、プリンターなどの事務機器を無料貸し出ししたりとサービスを拡充し、落ち込むカラオケ需要を補いたい考えだ。

第一興商は、カラオケルーム「ビッグエコー」をテレワークスペースとして提供するサービスを平成29年に始めた。当初は27店だったサービス提供店舗も、現在は全国の450店以上。「テレワークプラン」として展開している。令和2年以降のコロナ禍で「サービス自体の認知度も高まり、利用者も昨年は当初の10倍以上に増加した」(第一興商広報担当)という。

同社の場合、5人以下の利用なら1時間当たり1人500円。それ以降は30分同250円。6人以上だと1室1時間2500円で利用可能。全プランともソフトドリンクは飲み放題だ。

法人利用も増えており、無料の専用アプリによる料金の一括請求サービスも開始。「さまざまな業種の法人から問い合わせがあり、すでに70社以上と法人契約している」(同)という。

今後は習い事のオンラインレッスンや学生のオンライン授業、オンライン面接などの就職活動といったニーズも開拓。カラオケ以外で〝気軽に使える個室〟として定着を目指す考えだ。

レジャー施設事業を手掛けるニュートン(東京都新宿区)は、東京都内や神奈川県、大阪府などのカラオケ店「カラオケパセラ」11店舗で専用プラン「おしごとパセラ」を提供している。テレワークが急速に広がった2年3月にスタートしたが、その後も「利用客にヒアリングしてサービス内容を充実させている」(ニュートン担当者)という。

利用料金は1時間が1人600円、2時間同1400円などとなっており、1時間未満は10分120円で延長できる。1時間ごとに飲み物1杯無料サービスがあり、別途500円でランチも提供する。ディスプレーやホワイトボード、プリンターなど多数の無料貸し出し備品があるのも特徴だ。

利用者の声に応え、1万円で1万500円分利用できる「回数券プラン」や、1万5000円で1万8000円分利用できる「定期券プラン」なども用意し、利用者の定着を進めている。

カラオケ店がこうした事業を深耕する背景には、コロナ禍に伴うカラオケ市場の苦境がある。

カラオケ店などの業界団体である全国カラオケ事業者協会が昨年まとめた「カラオケ白書2021」によると、2年度のカラオケボックス市場はコロナ禍前の元年度に比べ48.1%減の1973億円とほぼ半減。施設数も同9.7%減の8436店に減少した。こうした中で、テレワーク向けサービスは業界の〝救世主〟となっており、各社は利用者のさらなる拡大を目指している。(青山博美、写真も)

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