内閣府が15日発表した令和3年10~12月期の国内総生産(GDP、季節調整値)速報値は、物価変動を除く実質で前期比1・3%増、このペースが1年間続くと仮定した年率換算は5・4%増だった。プラス成長は4~6月期以来、2四半期ぶり。新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き緊急事態宣言が全面解除されていた時期で、過半を占める個人消費が回復した。
緊急事態宣言が9月30日に解除された後、通常営業に戻った外食や宿泊などのサービス業を中心に、個人消費が前期比2・7%増と2四半期ぶりのプラスとなって成長率を押し上げた。
設備投資も0・4%増と2四半期ぶりのプラス。7~9月期は東南アジアでの新型コロナ拡大で部品供給が遅れ、緊急事態宣言下で商談も滞ったが、10~12月期に解消されたことで持ち直した。輸出も自動車などの回復で1・0%増と2四半期ぶりのプラスだった。
より景気実感に近い名目GDPは0・5%増、年率換算で2・0%増だった。
一方、併せて発表した3年の実質GDPは前年比1・7%増で、3年ぶりのプラスになった。ただ、四半期ごとに振り替えると、1~3月期と7~9月期は新型コロナの感染拡大でマイナス成長に陥り、4~6月期と10~12月期は感染の一時的収束や前期の落ち込みの反動でプラス成長になるなど、景気回復は依然として力強さを欠いたままだ。
4年1~3月期も変異株オミクロン株の感染急拡大で個人消費の下押し圧力が強まり、製造業では工場の従業員が出勤できず部品の供給が滞って自動車が減産するなど影響が広がっている。感染者数の高止まりで蔓延(まんえん)防止等重点措置は解除の見通しが立たず、民間エコノミストからは2四半期ぶりのマイナス成長になる可能性が指摘されている。