日本大学の取引業者から受け取ったリベート収入などを隠して所得税計約5200万円を脱税したとして、所得税法違反(過少申告)罪に問われた日大前理事長、田中英寿(ひでとし)被告(75)の初公判が15日、東京地裁(野原俊郎裁判長)で開かれ、田中被告は「争う気はありません」と述べ、起訴内容を認めた。
検察側は冒頭陳述で、日大の取引業者の選定を差配していた日大元理事の井ノ口忠男被告(64)=背任罪で起訴=がリベートを業者に要求し、田中被告の妻らを通じて、被告に渡していたと主張した。
また、日大との取引で大阪市の医療法人グループ前理事長、籔本雅巳被告(61)=同=らが利益を得ることについて、田中被告が「了承していた」と指摘。田中被告が妻に対し、受け取ったリベートを除外して申告するよう指示し、隠した所得は自宅に保管していたとも明らかにした。
公判では、籔本被告からの現金授受に関し、「自分へのお礼の趣旨だと思った」とする田中被告の供述調書も読み上げられた。
冒頭陳述によると、田中被告が平成30年と令和2年に受け取り、税務申告しなかったのは、籔本被告から4回にわたり計7500万円▽3つの設計・建築業者からそれぞれ1千万円、3千万円、20万円▽5つの清掃業者から30万円ずつ計150万円▽井ノ口被告から150万円-の計1億1820万円。
論告求刑公判は3月7日に開かれる予定。