ミャンマーで国軍がクーデターを起こしてから今月1日で1年となった。非常事態を宣言していた軍トップのミンアウンフライン総司令官は、宣言の半年延長を発表した。2020年実施の総選挙は既に無効にされており、勝利した国民民主連盟(NLD)を率いるアウンサンスーチー氏ら多数の政治指導者や市民は依然、拘束下にある。人権団体によれば、殺害された市民は1500人以上に上る。ミャンマーの発展を支えてきた日本は、民主主義をないがしろにする行為にどう対処すべきなのか。京都大学東南アジア地域研究研究所の中西嘉宏准教授と、京都精華大学国際文化学部のナンミャケーカイン特任准教授に聞いた。(聞き手 岩田智雄)
圧力は適切なタイミングではない 中西嘉宏氏
ミャンマーの非常事態宣言延長は憲法上1年まで可能だ。軍は半年延長し、さらに半年間延ばすだろう。2023年8月までに選挙を実施することは表明済みだ。この1年でミャンマーは国際社会から孤立し、経済も大打撃を受けたが、それでも軍は計画を変えていない。今もクーデター時の目的の完遂を目指している。