女子追い抜き「銀」 佐藤、悔しさ耐え「笑顔で」

2位となり、フラワーセレモニーに臨んだ(左から)佐藤綾乃、高木美帆、高木菜那=15日、国家スピードスケート館(桐原正道撮影)
2位となり、フラワーセレモニーに臨んだ(左から)佐藤綾乃、高木美帆、高木菜那=15日、国家スピードスケート館(桐原正道撮影)

3人が1列になって氷上を滑るスピードスケート女子団体追い抜き。高木菜那(29)、美帆(27)姉妹が描く精密機械のような連動にしっかりと合わせてバランスを取ってきたのが、チーム最年少の佐藤綾乃(25)だった。その3人のバランスが、15日の決勝で一瞬崩れた。最後の1周で菜那が転倒し、悔しさの残る銀メダル。それでも佐藤は「自分にもまだできた部分があったんじゃないか」と、あえて自らを責めた。

自分に対する厳しさと、周囲への心遣いは、常に持ち合わせてきた。

出身の北海道厚岸(あっけし)町は、冬は昼間でも氷点下の気温になる極寒の地。ここで3歳からスケート靴を履き、屋外リンクを走り回った。同町の副町長で、佐藤が小学生時代に所属した地元スケート少年団で指導していた石塚徹さん(56)は「とにかく前向き。苦しいはずの練習も、決して逃げなかった」と評す。

年に数回、1万メートルを滑る練習をしたときは、最後まで腰をかがめ、笑顔で乗り切った。38度台の熱を出した日さえ、練習を休みたくないと、周囲に黙ってリンクに上がった。

しかし、ひとたびリンクから離れると異なる顔を見せた。釧路北陽高(釧路市)で2、3年時の担任だった笹木理さん(42)の印象は、「男女問わず自然と周りに人が集まる子」だ。文化祭での演劇発表ではスケートの練習の合間を縫って衣装係のリーダー役を請け負った。採寸を一から行い、色合いなども工夫し、自ら舞台にも立った。「積極的に表に出るタイプではないけど、クラスのお世話係であり、リーダー的な存在だった」。笹木さんはこう振り返る。

この日のレース後、泣きじゃくる菜那に美帆が寄り添った。佐藤は姉妹の絆を確認しながら、そっと菜那の背中や頭をさすった。

表彰台では、美帆が菜那の肩を抱き寄せている間、悔しさを押し殺しながら笑顔を浮かべようとした。

「十分楽しんで、笑顔で終えられるように頑張ります」。佐藤は大会前、厚岸町の後援会へ送ったビデオメッセージで、思いをこう語っていた。その約束も守っていた。(太田泰)

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