北京冬季五輪の雪上競技でけが人が相次いでいる。会場周辺は例年降雪量が少なく、「滑りやすく硬い」とされる人工雪に頼っているため、開幕前から危険性が指摘されていた。ただ地球温暖化により、スキー場の人工雪への依存は世界的に拡大しており、冬季五輪を将来開催する都市にとっても大きな課題となりそうだ。
「北京五輪は実質的に100%の人工雪を利用する史上初の冬季五輪になる」。英ラフバラ大は1月下旬に発表した報告書で、北京五輪では計80万平方メートルに及ぶ雪上競技会場に、約120万立方メートルの人工雪が使用されると指摘。300台のスノーガン(人工降雪機)が稼働しているとした。
北京五輪の雪上競技は、北京中心部の北西約150キロにある河北省張家口市崇礼と、北京郊外の延慶で大半が実施される。主にスケート競技が行われる北京中心部も含めて、いずれも降雪量は少ない。
「見て、本物の雪だわ」。北京市のホテルの食堂では13日朝、窓の外一面に広がる雪景色に、米国の競技関係者の女性が声を上げた。大会の折り返しとなる12日から13日にかけて、3つのエリアではようやく本格的な積雪があった。
人工雪は、より多くの空気を含む天然雪よりも雪質が硬く、滑りやすい。このため報告書は「転倒した際に深刻なけがを負うリスクがある」と指摘する。