日本大学の取引業者から受け取ったリベート収入などを隠して所得税計約5200万円を脱税したとして、所得税法違反(過少申告)罪に問われた日大前理事長、田中英寿(ひでとし)被告(75)の初公判が15日、東京地裁(野原俊郎裁判長)で開かれ、田中被告は「争うつもりはありません」と述べ、起訴内容を認めた。
起訴状などによると、田中被告は平成30年と令和2年、大阪市の医療法人グループ前理事長、籔本雅巳被告(61)=背任罪で起訴=らから受領したリベート収入など計約1億1800万円を隠し、所得税計約5200万円を脱税したとしている。
日大をめぐっては、東京地検特捜部が日大付属病院の調達に絡む背任事件で籔本被告と日大元理事の井ノ口忠男被告(64)を昨年10月以降、逮捕・起訴。捜査の過程で、田中被告が籔本被告ら日大の取引業者からリベート収入を得ていたことが発覚し、特捜部が昨年11~12月、田中被告を逮捕・起訴していた。
田中被告は逮捕直後は容疑を否認していたが、勾留中に「税務申告すべき必要性を認識していた」などと一転して容疑を認めた。昨年12月21日に保釈され、関係者によると、同年末までに修正申告を済ませた。