【北京=桑村朋】スポーツ仲裁裁判所(CAS)は14日、北京冬季五輪フィギュアスケート女子に出場するロシア・オリンピック委員会(ROC)のカミラ・ワリエワ(15)のドーピング違反をめぐり、五輪への継続出場を認める裁定を下したと発表した。16歳未満の選手を柔軟な対応をとる「要保護者」と位置づけている世界反ドーピング機関(WADA)の規定などを重視したとみられる。ワリエワは優勝候補と目される15日からの女子シングルに出場できることになった。
ワリエワは7日の団体でROCの金メダル獲得に貢献したが、ドーピング違反が発覚し、8日夜の表彰式は延期された。金メダルの有効性は最終的に国際スケート連盟(ISU)が判断するが、ワリエワの個人戦への出場を認めた今回の裁定を受け、無効にならない可能性が高い。
昨年12月のロシア選手権でロシア反ドーピング機関(RUSADA)が採取した検体から禁止薬物「トリメタジジン」の陽性反応があり、WADAが今月8日に報告。RUSADAは9日夜、ワリエワに科した暫定資格停止処分をわずか1日で解除しており、対応を疑問視したIOCなど3者がCASに提訴していた。
CASによると、イタリア、米国、スロベニアの法律家ら3人の仲裁人が13日夜、ワリエワやRUSADA、WADAなどにビデオ会議形式で聴聞。16歳未満を保護対象とするWADAの規定や、陽性反応を示した検体が約6週間前に採取された点などが審理されたとみられる。
ロシアは2014年ソチ五輪などでの組織的なドーピング違反が発覚し、今大会も潔白を証明できた選手が個人資格でROCとして出場している。
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