東京・武蔵野の住民投票条例案、当面見送り 市長表明

日本人と外国人を区別せずに投票権を認める住民投票条例の制定を目指している東京都武蔵野市の松下玲子市長は14日の定例記者会見で、条例案の議会への再提出を当面見送る考えを明らかにした。条例案は昨年12月の市議会で否決されており、松下氏は「市民や議会の意見に基づき、論点を整理して検討する。提出時期は示せない」と述べた。

住民投票条例の制定は、市が令和2年4月に施行した自治基本条例に規定が盛り込まれている。松下氏は「自治基本条例を完全施行していくうえで、必要性は十分認識している」と述べ、最終的に制定を目指す考えは変わらないとした。ただ、市議会で否決された際、市民への周知不足を指摘された点を踏まえ、市民への全戸アンケートを実施するなど時間をかけて内容を検討するという。

前提となる自治基本条例の原案をまとめた懇談会が、実態としては地方自治法の規定する付属機関であるにも関わらず、要綱のみで設置されており、違法性が指摘されている問題にも言及。松下氏は「懇談会は自由に意見を述べる私的諮問機関と位置付けている。付属機関ではなく、法の趣旨にも反していない」と違法性を否定した。

一方で、歴代市長を含め、市がこれまでに設置した私的諮問機関の在り方を整理する必要性は認めた。松下氏は「過去の判例で違法とされるもの、そうでないものさまざまで、要綱による設置か分からないものもある」と説明。その上で、設置段階で、付属機関か私的諮問機関かを判断する指針を作成する考えも示した。

会員限定記事会員サービス詳細