地方に勝機

荒廃農地を救え 栃木県益子町でウシ放牧、人との共生目指す

ウシの様子などについて話し合う森林ノ牧場の山川将弘さん(右)ら=2日、栃木県益子町(鈴木正行撮影)
ウシの様子などについて話し合う森林ノ牧場の山川将弘さん(右)ら=2日、栃木県益子町(鈴木正行撮影)

益子町との出会い

放牧の再開後、山川さんが取り組んだのは、1次産業の搾乳から2次産業の加工、3次産業の販売まで自社で一貫して行う「6次産業化」だ。ヨーグルトやミートソースといった高付加価値の商品を那須町の自社工場で加工、販売したほか、ネット通販が好調で事業を拡大させていった。

並行して、山川さんは生乳の生産を増やすことと、「ウシを放牧して人が集まり仕事が生まれる場所を作りたい」という理想を実現しようと、2番目の牧場予定地を探した。

出会ったのは、地元銀行から山川さんの情報を聞きつけた益子町。農業従事者の高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加などに悩む益子町は「牧場は町の美しい景観とマッチしている。新たな雇用を作り、地域の活性化にもつながる」として、山川さんの掲げる理想に賛同したのだ。

同町は約5年前まで畑や牧草地として使われていた町内の約8ヘクタールの耕作放棄地の所有者を山川さんに紹介したほか、地域住民への牧場計画説明会を開いたりするなどサポートした。

耕作放棄地には雑草が生い茂り、イノシシなどの野生動物が住み着いていた。山川さんは「草がボーボーで人が入れる場所ではなかったが、耕作放棄地にも森林と同じ課題があり、ウシの放牧で人が入れば獣害が防げる」と考え、牧場を開くことを決めた。

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