たばこと健康

禁煙に有効、世代別アプローチ

厚生労働省の国民健康栄養調査は、禁煙を促す活動を行う上で欠かせない情報源である。その報告書から得た「習慣的に喫煙している者の割合(以下、喫煙率)」、そして「習慣的喫煙者の禁煙意思を有する者の割合」のデータを利用し、「たばこ離れ」の動向を分析した。

調査結果は20~29歳の20代、以下同様に30代、40代、50代、60代および70歳以上の年齢区分と全体について男女別に分けて掲載されている。10歳ごとに区分されたデータを10年間隔で比較すれば、同世代の人々の喫煙率の変化を知ることができる。今回、1950~59年の50年代、以下同様に60年代、70年代および80年代に生まれた4世代について、令和元(2019)年と平成21(2009)年の10年間の変化を調べてみた。それだと、1980年代生まれは平成21年に20代で、令和元年には30代になる。

グラフは、男女別の全世代と4つの世代の平成21年と令和元年の喫煙率を表したものである。男性全体の喫煙率は10年間で38・2%から27・1%へ下がり、女性全体では10・9%から7・6%に低下し、男女とも全世代で喫煙率は低下した。

男性では1970年代以前に生まれた3世代で、たばこ離れが全体の低下(11・1ポイント)より大きく進み、80年代生まれは6・9ポイントとペースが遅い。一方、女性は80年代と70年代生まれが女性全体の喫煙率低下(3・3ポイント)を上回り、若い世代のたばこ離れが進んだことがわかる。

次に、世代別のたばこ離れの状況を以下の手順で分析した結果を、表に示す。

①人口統計から平成21年と令和元年の年齢区分ごとの男女人口を求めた

②両年の年齢区分ごとの人口に各喫煙率を掛け、それぞれの喫煙者数を算出

③両年の年齢区分ごとの喫煙者数に禁煙希望者の割合を掛け禁煙希望者数を推計

④両年の年齢区分ごとの喫煙者数の差(10年間の喫煙者減少数)を計算

⑤年齢区分ごとの③と④の比を10年間の禁煙達成率とした

男性では、1960年代以前に生まれた世代は禁煙達成率が100%を超え、平成21年の禁煙希望者より多くの人が禁煙を達成している。

一方、女性では1980年代生まれの世代以外は禁煙達成率が100%に届かず、平成21年の禁煙希望者よりも禁煙した人の数が少なく、たばこ離れが困難であったことを示唆している。

これらの結果から、今後、禁煙呼びかけの対象を男性は1970年代以降に生まれた若い世代に、逆に女性は70年代以前に生まれた世代に重点を置くことも一案と考える。

平成21年の喫煙者数2545万人は、10年後の令和元年には1844万人に、701万人減少した。毎年平均70万人がたばこをやめた計算である。前回紹介した資料によると、禁煙外来受診者数は年間20万人程度と推定され、年間50万人以上が禁煙外来以外の方法でたばこをやめたと考えられる。令和元年の喫煙者1844万人のうち、465万人が禁煙を希望している。

こうした今回の分析結果は、禁煙したい喫煙者に対し、性別と世代別に対応した禁煙支援プログラムの提供が必要であることを認識させるものとなった。今後の禁煙支援活動に役立てていきたい。

(高崎健康福祉大教授 東福寺幾夫)

【データ出典】「総務省統計局人口統計 年齢別・男女別人口(2019、2009)」

「厚生労働省国民健康栄養調査(令和元年、平成21年)

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