ウクライナ周辺に昨年来、10万人超のロシア軍が集結し、日に日に緊張が高まっている。侵攻があれば大きな犠牲が出るのは必至だ。ロシアが要求しているのは、ウクライナや周辺の旧ソ連構成国が北大西洋条約機構(NATO)に加盟しないとの確約だが、米欧は拒否し、交渉は継続している。侵攻はあるのかないのか。国際シンクタンク「インターナショナル・クライシス・グループ」欧州・中央アジア担当部長のオルガ・オリカー氏に聞いた。
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ウクライナ情勢の最悪のシナリオは、ロシアがウクライナに対して新たな軍事攻撃を開始することだ。ウクライナ軍の規模は露軍よりはるかに小さく、装備や能力も十分ではない。いったん侵攻が始まれば、ウクライナ側で多数の人命が失われるのと同時に、米国や欧州は対露制裁を発動し、欧州で軍備を増強することになるだろう。