「自分しかできない表現を」平野歩夢、体現の金

<男子スノーボードハーフパイプ決勝>平野歩夢の2本目=11日、雲頂スキー公園(彦野公太朗撮影)
<男子スノーボードハーフパイプ決勝>平野歩夢の2本目=11日、雲頂スキー公園(彦野公太朗撮影)

北京冬季五輪男子ハーフパイプ決勝で、平野歩夢(あゆむ)(TOKIOインカラミ)が96・00点で日本勢初の金メダルを獲得した。高さ、技の完成度、着地の正確さ。平野歩の演技は、どれをとっても非の打ち所がなかった。世界で初めて実戦で決めた勝負技の「トリプルコーク1440」(斜め軸で縦3回転、横4回転)も難なく成功。手応えがあった2回目は得点が伸びなかったが、「怒りとともに集中できていた」。3回目を完璧に決めて逆転、文句のない王者になった。

「正直、僕は誰の物差しも知りません。新しい色や形を見なきゃ意味が無い」

昨夏の東京五輪。スケートボードでの戦いを終え、気持ちをインスタグラムにつづった。子供の頃、スノーボードと両方で世界一を誓ったことを忘れられず、誰もやったことのない「二刀流」に挑戦。先駆者としての自負がにじんでいた。

東京五輪の1年延期は想定外だった。北京五輪に出るため、昨年4月の全日本選手権で雪上に一時復帰。飄々(ひょうひょう)と大空を舞いながらも、周囲には「スケートボードもスノーボードも考えないと。消化できない」と不安を漏らした。

一方で得たものも。冬は2大会連続銀メダルの23歳も、夏では表彰台に到底届かない。その中で、「自分と向き合って戦う意識を学べた」。結果に左右されず自らを高めることに集中する重要性を知った息子を、父の英功(ひでのり)さんは「東京五輪で負けて強くなった」と評した。

わずか半年での夏冬挑戦も未知なこと。時には他の選手の倍にも迫る練習量で新技習得に着手した。トリプルコークもその1つ。「自分しかできない表現を見せたい」。見事体現した。

スノーボード日本初の金メダルを〝三度目の正直〟で手にした。ただ、先駆者の道は続く。「これから進む道を考え直して、自分の中の挑戦をしていきたい」。夢を追う歩みは止めない。(小川寛太)

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