「あれが僕の全て」挑戦やめない羽生、王者の生きざま

<フィギュアスケート 男子FS フリースケーティング>演技を終え、リンクについた手で顔を覆う羽生結弦=10日、首都体育館(桐原正道撮影)
<フィギュアスケート 男子FS フリースケーティング>演技を終え、リンクについた手で顔を覆う羽生結弦=10日、首都体育館(桐原正道撮影)

自分の限界を超えようと常に挑戦し続けてきた。五輪連覇を成し遂げてもなお、自身の定めた目標に向かって努力を重ねた羽生結弦(ゆづる)(27)。その裏には、誰もが認める才能とストイックさがあった。

羽生の原点は、前向きで跳躍姿勢に入る難易度の高いアクセルジャンプを「王様のジャンプ」と教えた都築章一郎コーチ(84)が知る。手足の長さ、物事を深く追究しようという性格。小学2年だった羽生に、すぐさまトップスケーターの資質を見いだし、ほどなく「オリンピック選手になろう」と声をかけた。

二人三脚で磨いた美しいアクセルは羽生の武器になり、五輪連覇後は、クワッドアクセル(4回転半ジャンプ)を成功させることが、現役を続けるモチベーションとなった。

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ジュニア時代から羽生と競い合ってきた元フィギュアスケーターの中村健人さん(30)は、羽生の競技へ向かうストイックな姿勢を明かす。

2012年ごろ、ともに拠点を置いていたカナダでの練習後の時間。週末の過ごし方や共通の趣味であるゲームの話で盛り上がっても、外食への誘いはいつも断られた。「じゃあいつだったら行けそうなの?」。羽生は「できれば、引退後がいい」と真顔で答えた。「これが羽生結弦なんです」と中村さんは笑う。

この日、事前の宣言通りクワッドアクセルに挑んだ。結果は回転不足で転倒。それでもジャンプとしては世界で初めて公認大会でクワッドアクセルと認定された。「あれが僕の全てかな」。演技後、自らの挑戦を、こう振り返った。

フリーはテレビ中継で見届けた中村さん。「王者の生きざまが詰まっていた。大きなプレッシャーの中で戦い続けた彼に、お疲れさまと声をかけたい」と羽生をねぎらった。(浅上あゆみ)

>>「4回転半挑戦」と認定 羽生の大技、主要大会初

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