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(218)いつもと違う頭痛に注意

頭痛は本当に煩わしいものです。いつもと変わらない感じで、そのうち治まっていくものであればそう心配することもないでしょう。しかし、急に発症する強い頭痛や、普段頭痛持ちでない人の頭痛には注意が必要です。

50代前半の男性が頭痛を訴えて受診しました。2週間ほど前に首の後ろから後頭部にかけての痛みが出て、よくならないというのです。普段頭痛はめったにないそうです。頭痛が始まる前日に久しぶりに音楽のライブに行き、頭を激しく振ってしまったということでした。また、数年前から健康診断で高血圧を指摘されていたものの、治療は受けていないということでした。

血圧はすぐに治療が必要なほどの高さでした。頭痛以外の症状は特にないのですが、経験したことのない頭痛ということで、降圧薬を開始するのと同時に頭部のMRI検査を受けてもらいました。結果、脳出血や脳梗塞は見られませんでしたが、椎骨動脈の血管壁に解離している部分がありました。

動脈の壁は3層の膜からできていますが、動脈壁に何らかの力が加えられ、血管の膜がはがれ隙間ができると、そこに血液が流れ込みます。このような状態が動脈解離で、通常は強い痛みが出ます。

椎骨動脈解離では頭痛や頸部痛だけで終わるものが多いですが、椎骨動脈解離により小脳などへの血流が途絶えると、めまい、声がれ、体が思うように動かせないといった症状が出ます。またもろくなった血管が破れてしまうと、くも膜下出血につながります。その場合は強烈な頭痛が突然出ることが多く、意識が低下していくこともあります。こういったことは、解離が起こってから数週間の間に起こりやすく注意が必要です。

首の後ろから後頭部の強い痛みや、それに続く麻痺などの症状があると、椎骨動脈解離を念頭に検査を行います。衝突や運動、整体などで頭を振ったり、首をひねったりしたときに起こりやすいですが、きっかけとなるような出来事が全くない場合もあります。

今回の例では、ライブで頭を強く振ったことが原因になった可能性があります。そのため、当面安静にすることのほか、今後はそのような行動は控えるべきだとお話ししました。患者さんは「最近ライブに行っていなかったから鍛え方が足りなかったのかな」。そういうことではありませんよ。

(しもじま内科クリニック院長 下島和弥)

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