北京冬季五輪第7日の10日、スノーボード女子ハーフパイプ決勝で、冨田せな(22)が銅メダルを獲得した。幼少期から高め合ってきた妹のるき(20)とともに挑んだ大舞台で、この種目では日本女子初の快挙を成し遂げた。
父、達也さん(45)のスノーボード好きが高じて、移住先の新潟県妙高市で生まれ育った姉妹。どちらも3歳でスノーボードを始め、競い合うように上達していった。
慎重派の姉に、マイペースな妹と性格は正反対。「せなは『石橋をたたいても渡らない』ほど何事にも慎重だった」と母の美里さん(45)は話す。
2人とも強豪スノーボード部がある開志国際高(同県胎内市)に進学したが、競技へのスタンスは違った。せなが「五輪出場」の夢に一直線だったのに対し、2学年下のるきはパティシエなど競技以外の道を模索した時期もあった。
せなは高校在学中に前回平昌五輪に出場。姉妹の練習に付き添った工藤彰範(あきのり)校長(62)は「姉の背中を追いかけるように、妹も徐々に競技に集中していった」と振り返る。
るき、せなの順で臨んだこの日の決勝。1回目と2回目に大技を決めた姉が銅メダルを手にし、妹も3回目に全ての技を成功させ、5位入賞を果たした。美里さんは「せなは自分に打ち勝って取れたメダル。2人に『お疲れさま』と声をかけたい」とねぎらった。
表彰式後、姉は涙をぬぐいながら最も身近なライバルである妹への思いを口にした。「2人でずっとやってきた。この舞台で一緒に滑れてよかった」
(桑波田仰太、太田泰)