「ちょっとそれは微妙な問題だからね…。具体的にはコメントできないな」
先日、オランダ紙の男性記者と話をしていたときのこと。北京冬季五輪で健康管理アプリなどを通じた情報漏洩(ろうえい)が懸念されている問題について話題を振ると、とたんに口が重くなった。
米国の女性カメラマンには五輪の防疫対策について尋ねた。質問に答えていいか上司に了承を得ようとしてくれたが、「残念ながらだめだったわ」とメールの回答を見せてくれたこともあった。
北京五輪を取材する海外メディアは選手と同様、公の場での発言について慎重な対応を取っているように感じる。中国当局の機嫌を損ね、取材活動に支障をきたしたら元も子もないからだ。「中国の法律に違反すれば処罰対象になる」。五輪開幕を前に、大会組織委員会がほのめかしていた事実上の言論統制と無関係ではないだろう。
中国の人権問題などを取材するような、当局にとって厄介で〝行儀の悪い〟記者は主に「バブル」外におり、バブル内のメディアとの温度差も感じる。