上場企業が3カ月ごとに業績などを公表する「四半期開示」の見直し議論が今後本格化する。四半期開示は企業や投資家の短期的な利益追求を助長しているとの指摘があり、岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」の重要施策として、首相が度々言及しているためだ。ただ、海外の制度も定まっておらず、首相からは見直しの具体策は示されていない。検討の場となる金融庁の金融審議会(首相の諮問機関)で今春にも報告書をまとめる方針だが、内容次第では首相が目指す「新しい資本主義」の実現にも影響が出かねない。
「株主と共通の理解を作っていくため、今年中に非財務情報の開示ルールを策定する。あわせて、四半期開示の見直しを行う」。1月17日の施政方針演説で、首相は改めて、四半期開示の見直しに意欲を見せた。
四半期開示の見直しは、首相が昨年の自民党総裁選で公約に掲げたほか、昨年10月の所信表明演説や衆院選の自民党の公約でも言及している。昨年12月の衆院予算委員会でも新しい資本主義を考える上で「大変意義ある課題」と強調。見直しに強い意欲を見せる。