米出身中国女性2選手に明暗 転倒でネット罵倒

北京冬季五輪の中国代表で、米国生まれの女性2選手の明暗が分かれ、話題となっている。フリースタイルスキー女子ビッグエアで金メダルを取った谷愛凌(こく・あいりょう)(18)が称賛を受ける一方、フィギュアスケート団体で転倒しチームの順位を押し下げた朱易(しゅ・えき)(19)は猛烈なバッシングを受けた。沸騰するネット世論を前に、中国メディアは火消しの動きを見せている。

「中国女子雪上競技で初の冬季五輪金メダルを獲得した」。9日付の中国共産党機関紙、人民日報は1面で、谷愛凌の活躍を伝えた。中国の短文投稿サイト、微博(ウェイボ)でも「最高のプリンセスだ!」と絶賛の投稿が並んだ。

中国メディアなどによると、谷は米国人の父と中国人の母を持ち、米カリフォルニア州で生まれ育った。スキーの実力に加え、米名門スタンフォード大への入学を決め、高身長を生かしてモデルとしても活躍。中国国内で絶大な人気を誇っている。

一方、批判の的となった朱易は、中国人の両親の元、米国で生まれ育った。フィギュアスケート団体に出場したが、6日のショートプログラムと7日のフリーの両方で転倒し、ウェイボは「朱易が転んだ」というハッシュタグ(検索目印)が付いた投稿であふれ、「米国に帰って中国に恥をかかせるな」などと罵倒するコメントが目立った。

批判が激しさを増した背景として、1枠の女子シングル五輪代表の選考をめぐり、有力視されていた地元・北京出身の選手ではなく、主要な国際大会で優勝経験のない朱が選ばれた経緯がある。著名な学者である父親の影響力で代表に選ばれたとの臆測が広がり、さらに朱が同じ米国出身の谷と違って流暢(りゅうちょう)な中国語を話せないことも反感を呼んだと指摘される。

こうした中、微博では朱を批判する内容が検索できなくなっている。また、中国国営中央テレビは9日までに、朱への批判に関し「励ますべきであり、攻撃すべきではない」とする大会組織委員会の楊揚(よう・よう)選手委員長のインタビューを報じた。

五輪会場で中国人記者に朱の一件を取材しようとすると「あまり詳しくない」「取材は受けない」と断られるケースが多かった。敏感な話題になっているだけに、外国人記者を警戒しているようだ。別の中国人記者は「ネット上の声はよくわからないが、彼女はまだ若い。若手のスポーツ選手にはもっと成長する時間と機会を与えるべきだ」と話した。(北京 三塚聖平、桑村朋)

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