台湾の食品禁輸解除 梨やコメ輸出の千葉県、販路拡大に期待

台湾の陳建仁副総統(右)を表敬訪問し、千葉県産食品の輸入規制解除を直訴した森田健作知事(いずれも当時)=2016年8月、台湾・台北市の台湾総統府(県提供)
台湾の陳建仁副総統(右)を表敬訪問し、千葉県産食品の輸入規制解除を直訴した森田健作知事(いずれも当時)=2016年8月、台湾・台北市の台湾総統府(県提供)

台湾当局が11年ぶりとなる千葉県産食品の輸入再開を事実上表明した8日、県内の農林水産関係者からは歓迎の声が上がった。成田空港を抱える本県は生鮮食品などの輸出に有利で、新たな販路の開拓に期待が高まる。一方、先行する他自治体との競合や、台湾側が示すとみられる食品安全の確保に向けた手続きが不透明といった不安材料もあり、手放しでは喜べない事情も垣間見える。

台湾は平成23年3月、東京電力福島第1原発事故を機に県産食品の輸入を停止。現在も酒類を除く全ての食品が輸出できない。

8日、県庁で記者団の取材に応じた熊谷俊人知事は、「農林水産県である千葉県として非常に大きなニュース。一日も早い正式決定を期待している」と台湾側の対応を歓迎。「積極的に生産者や流通事業者と連携し、輸出拡大に全力で取り組みたい」と意気込んだ。

県産食品の輸出促進は、森田健作前知事時代に本格化。知事自ら海外でトップセールスを展開するなど販路を広げてきた。今年1月には、食品輸出の拠点となる新市場が成田空港に隣接して開場したばかりだ。

県や全国農業協同組合連合会(JA全農)の県本部によると、輸入停止前はコメやメロンをはじめ、ダイコンやキャベツ、ニンジンといった一般野菜などを台湾に輸出。再開後は、梨やサツマイモなどが有力な輸出品目になるとされる。県流通販売課の担当者は、「台湾は有望なマーケット。県としてもバックアップしていきたい」と話す。

県は令和4年度一般会計当初予算案で、県産農林水産物の輸出促進事業として6159万円を計上。海外でのPRや商談会の開催、輸出に取り組む生産者団体への支援などを予定し、輸入再開が実現すれば台湾も対象に加えるという。

一方で不安材料もある。今回再開が見込まれる千葉など5県を除く42都道府県は、既に食品を台湾に輸出しており、後発組としてどこまで台湾人の胃袋をつかめるかは未知数だ。また、台湾側は輸入再開後も県産食品に放射性物質の検査証明や産地証明などを求める可能性がある。手続きに時間がかかれば、食品の鮮度に影響しかねない。

JA全農県本部の関係者は「(再開は)待ち望んでいたが、どのような安全基準かも注視したい。台湾の人たちに安全性を理解してもらいながら、おいしさをアピールしていく」と話す。(小野晋史)

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