昨年の消費と給与、プラス転換もコロナ前水準届かず 1月景況感は東日本大震災以来の落ち込みに

マスク姿で通勤する人たち=1月4日午前、JR東京駅前
マスク姿で通勤する人たち=1月4日午前、JR東京駅前

政府が8日発表した令和3年の消費支出と現金給与総額は、いずれも前年比でプラスに転じた。新型コロナウイルスの度重なる感染拡大と行動制限に苦しみながらも徐々に持ち直してきたが、元年のコロナ前水準には戻れていない。足元はオミクロン株拡大と原油高などを背景にした物価上昇が景気を冷やしており、同日発表された街角の景況感指数は東日本大震災が起きた平成23年3月に次ぐ急激な落ち込みを記録した。

総務省が発表した令和3年の家計調査(2人以上世帯)では、1世帯当たりの月平均消費支出が27万9024円になり、物価変動を除く実質で前年比0・7%増と2年ぶりに増加した。

第一生命経済研究所の星野卓也主任エコノミストは「(3年)12月最終週のサービス消費はコロナ前の元年を上回った。感染状況の落ち着きが年末のサービス消費を後押しした」と指摘する。低迷が続いてきた外食や旅行関連の需要は、緊急事態宣言が解除された昨秋以降に急回復をみせた。

ただ、年平均の消費支出は元年(29万3379円)に比べ依然低水準だ。品目別の比較では外出自粛の影響で航空運賃が元年比74・7%減、パック旅行費が82・3%減と低迷した。〝巣ごもり消費〟で重宝する冷凍調理食品は26・9%増、チューハイやカクテルも39・4%増と好調が続いた。

また、厚生労働省が発表した3年の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)でも、基本給や残業代を合わせた1人当たりの現金給与総額(名目賃金)は月平均で前年比0・3%増の31万9528円と3年ぶりに増加した。とはいえ、こちらも落ち込んだ2年の反動増という側面が大きく、元年(32万2552円)水準には届かない。

一方、昨年後半からの回復基調は現在、急激な減速を余儀なくされている。内閣府が発表した1月の景気ウオッチャー調査では、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整値)が前月比19・6ポイント下落の37・9となり、5カ月ぶりに悪化した。下落幅は比較可能な平成14年1月以降、過去2番目の大きさになった。

調査では「蔓延防止等重点措置が適用されてから予約数がゼロになった」(南関東のレストラン)、「燃料費や資材価格の値上げで経費増が続いている」(北関東の不動産業)など各地で悲鳴が上がっており、活況にわいた昨年末との落差が浮き彫りになっている。(田辺裕晶)

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