7日に行われた北京冬季五輪ノルディックスキー・ジャンプ混合団体(ヒルサイズ=HS106メートル)で、高梨沙羅(クラレ)佐藤幸椰(雪印メグミルク)伊藤有希、小林陵侑(ともに土屋ホーム)で臨んだ日本は合計836・3点で4位だった。
高梨にまたも厳しい現実が突き付けられた。今回新たに採用された混合団体。1番手を任され、103メートルの大ジャンプをみせた。テレマークが決められず、おどけるしぐさも見せていたが、直後に事態が暗転。スーツの規定違反で記録が取り消された。
チーム関係者によると、飛躍後の計測で両もも周りが規定より2センチずつ大きかったという。ジャンプの飛距離を左右するスーツは、体格によってサイズなどが厳格に規定されており、日々の体重変化などの影響で失格となることも珍しくない。高梨は5日の女子ノーマルヒルでも同じスーツを着用し、問題なかったといい、関係者は「痩せたり、水分が抜けたりしても変わる。スタッフの確認不足。ぎりぎりを攻めないとメダルは取れない」と話した。
4位という結果は日本の意地というほかない。「自分のせい」と大泣きした高梨に、他の3人が駆け寄り「大丈夫だから」と励ました。個人戦で苦戦した佐藤幸や伊藤も気持ちのこもった飛躍で、チームを鼓舞。仲間の思いに「(2回目を)飛びます」と気力を振り絞った高梨は、飛ぶことすら難しい精神状態をはね返して98・5メートルの好記録を出し、直後に泣き崩れた。
小林陵は各国のエースがそろう4人目で1位の成績を2回続け、大ジャンプがなければ表彰台に乗れない2回目には、ヒルサイズの106メートル。右拳を力強く突き出した。失格者を出した4チームの中では最上位。3位カナダとは1人分成績が少ない中で、距離に換算して約4メートル差まで迫った。
「沙羅は2本目に集中していいパフォーマンスできて、本当に強いなと思う」と小林陵は同い年の高梨をたたえた。メダルには届かなかった。ただ、下を向く必要は全くない。(小川寛太)
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1回目の飛躍が失格となり、声を上げて泣く高梨沙羅。ジャンプ混合団体は強豪国にスーツの規定違反による失格者が続出する波乱の展開となった=張家口(共同)