私の受験時代

筋トレのように問題を解いた 車いすの社長・垣内俊哉さん

ミライロの垣内俊哉社長(沢野貴信撮影)
ミライロの垣内俊哉社長(沢野貴信撮影)

骨が折れやすい難病「骨形成不全症」で幼い頃から入院と手術を繰り返しました。小学校高学年からはほぼ車いすを使って生活しています。「歩けるようになりたい」と高校2年の春から休学して手術を受け、治療に専念しました。出席日数が足りず、17歳で中退。高校卒業程度認定試験を受け、大学進学を目指すことを決めました。

電車で往復2時間かけて予備校に通いました。高1の単位しか取得できていなかったので、「人の倍、勉強しなければ」と1日12時間勉強しました。高卒認定試験で「失敗できない」という緊張感を味わったことは、センター試験、受験を乗り切る上でいい経験になりました。

受験勉強もかなり追い込みました。唯一、自信があったのは国語だけ。数学は筋トレのように、とことん問題を解きまくりました。英語は、頭の中を単語で埋め尽くすくらい暗記に力を入れました。それ以外は、一定の法則やパターンでどうにかなります。

せめて高校卒業程度の知識や学力を身に付けておかなければ。この機会を逃したら勉強なんてしないだろうと考え頑張りました。当初は30台だった偏差値は、60台をうかがうまでに伸びました。

ところが本番の受験直前に骨折し、入院することに。大学に受け入れ態勢を整えてもらい、民間の救急車を手配して試験会場に向かいました。当日は、ベッドに寝たきりの状態で長時間の試験を受けました。「ダメでもともと」という境地に至り、計り知れない馬力が出たというか、さえていたと思います。

立命館大経営学部に入学すると一人暮らしを始め、アルバイトもしました。大学では最良の仲間と出会いました。ビジネスプランコンテストでグランプリを獲得し、同級生とともに起業。今につながっています。

大学受験のプロセスは、仕事にも通じる部分があります。決められた期日、目標から逆算し、「いつまでにここまでする」と決めて参考書や過去問に取り組むといったように。要領よくやらなきゃいけないのも仕事と同じ。取捨選択することで感覚が磨かれます。受験勉強は社会に出たときに役立つトレーニング。決して無駄なことなんてない。

受験には全力で向き合わなければいけませんが、根を詰めることだけが正解ではありません。時には映画を見たり、本を読んだり、遊びに行く方がリフレッシュでき、見識を広げることにもなります。受験生には、頑張ってきた自分に自信を持ち、最後は肩の力を抜いてやるくらいがいいんだよと伝えたいですね。(聞き手 吉田智香)

かきうち・としや 平成元年4月生まれ。岐阜県中津川市出身。大学在学中の22年に「ミライロ」を設立。障害を価値に変える「バリアバリュー」を企業理念に掲げ、ユニバーサルデザインのコンサルティングなどを手がける。障害者手帳の代わりに使えるスマートフォンアプリ「ミライロID」を提供。一般社団法人「日本ユニバーサルマナー協会」代表理事も務める。

【私の受験時代】成功の陰には必ず努力がある 声優・村瀬歩さん

【私の受験時代】 医学部も五輪も 自分で運命を切り開く 柔道選手・医学生 朝比奈沙羅さん

入試関連ニュース

入試コラム