和歌山県が誘致を進めるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)をめぐり、7日、県の区域整備計画案を審議した県議会の特別委員会。事業者の資金調達見通しなどについて、県側の説明に対し、委員側から不安視する声が相次ぎ、議論は約7時間にわたり紛糾した。
特別委では昨年11月も、資金調達見通しなどに疑問が相次ぎ、県が当初予定していたパブリックコメント(意見公募)や県民への公聴会(説明会)を延期した経緯がある。
この日は県側が、IR事業者に選んでいるカナダのクレアベスト・グループの事業体制や、初期投資約4700億円の資金調達見通しなどについて説明した。
しかし、委員側からは、同じくIR誘致を目指している大阪府・大阪市の例も挙げ、「(事業体制で)全ての企業名が出せないのはなぜか」「(資金調達で)出資の確約書は得ているのか」などの厳しい意見や質問が相次いだ。
県側は「企業名を明らかにする了承を得ていない」「確約書に準ずる書類を確保している」と説明するにとどまり、委員側からは「夢まぼろしにならないようにしてほしい」「大阪が100点とすれば、県の案は欠点だ」などの厳しい意見が続出した。
国への区域整備計画申請の期限が4月28日に迫っているため、特別委では、県が今後計画するパブリックコメントや公聴会の実施は了承したものの、藤山将材委員長は「今回も残念ながら、資金計画等の内容は不透明な部分が多く、納得できるものではない。次回の特別委員会では、確かな資金計画を強く求める」などとする談話を発表した。
田嶋久嗣・IR担当理事は「(事業内容を)さらに具体的に示せるよう、事業者と調整していきたい」としている。