私の受験時代

成功の陰には必ず努力がある 声優・村瀬歩さん

村瀬歩さん(ヴィムス提供)
村瀬歩さん(ヴィムス提供)

高校生のときは本当に勉強しなくて…。定期試験はいつも一夜漬け。国語と、小さい頃は米国にいたので英語はなんとかなりましたが、数学や化学、生物なんかはいつも赤点すれすれでした。3年生になって周りが受験モードになっても、カードゲームばかりしていました。自分の将来像を描けず、モチベーションが生まれなくて。でも今思えば、だからこそ勉強すべきだった。勉強は、将来何をするにも最強のツールになるのに、その現実を見すえて今すべきことを考える力がなかったんです。

志望校もなんとなく決めていくつか受けましたが、どこにも引っかからず。浪人するので予備校に通うわけですが…。授業料をみて、ヤバイと。次は合格しないと親に迷惑をかけると思い、スイッチが入りました。最初は朝から晩まで毎日勉強して成績はグンと上がったのですが、2カ月でエンストして、やる気の出ない日が3日くらい続きました。

自分は何か楽しみがないとだめなんだと分かり、予備校の講義のない土日は勉強しないという〝週休2日制〟にしました。休みの日には友人とカラオケに行ったり、古着を見に行ったり。勉強するときも、時間ではなく「ここまで覚える」と量を決めることにしました。

分かる、解ける、点数が上がるという成功体験を積むうちに、勉強が楽しくなりました。模試の結果が返ってきたら、間違えた問題を徹底的に確認。ゲームでもそうですが、僕は凝りだすと完璧主義というか、取りこぼしたまま先に進めないところがあるんです。高校では赤点すれすれだった数学がいつしか得意科目になり、偏差値も上がったので志望校も変えました。さすがに受験目前の冬には、土日も勉強。大学に合格したときは「よかった。これで大学生だ」と安心しましたね。

大学生になって、塾の講師と家庭教師のアルバイトをしました。でも自分の中の知識を使い回しているという感じがして…。何かまったく新しいことをやりたいと2年生の春に通い始めたのが、声優養成所の日本ナレーション演技研究所でした。小さい頃からドラマやアニメが好きで、芝居に関心がありました。運動が苦手なので体全体で表現する舞台は難しいけれど、声優ならいけるんじゃない?なんて。習い事感覚で始めたのですが、すぐにのめり込みました。教科書や出題範囲のある試験勉強とは違い、芝居にはこれをやったらできるようになる、というのがない。ちょっとしたアドバイスですごく良くなることもある。めちゃくちゃ面白いなと思いました。

2年生の終わりに今の事務所「ヴィムス」に受かり、この道で生きようと決めました。でもせっかく入ったのだからと、大学も4年で卒業しました。大学の勉強も面白かったです。高校までと違って自分で発案したり分析したり、まさに社会人になるための準備という感じでしたね。

僕は「努力は必ずしも報われない。でも、成功の陰には必ず努力がある」という言葉が好きです。声優という仕事に就きましたが、勉強してきたことが無駄になったわけじゃない。勉強によって努力するクセが身についたことで、好きなこと、必要なことへの努力を惜しまないようになれました。今の受験生は、新型コロナウイルス禍という本当に大変な中で頑張ってきた。積み重ねてきた皆さんの努力が花開くよう、応援しています。(聞き手 藤井沙織)

むらせ・あゆむ 1988年12月生まれ、米国出身。アニメ「ハイキュー‼」(日向翔陽)、「王様ランキング」(カゲ)、「魔入りました!入間くん」(鈴木入間)など出演作多数。

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