北京冬季五輪の開催国、中国がメダル獲得数で躍進を狙っている。その切り札は、7日のフリースタイルスキー女子ビッグエア予選に登場した18歳の谷愛凌(こく・あいりょう=(アイリーン・グー)だ。米国人の父と北京出身の母を持ち、米カリフォルニア州で育った。2019年に中国国籍を取得し、国内では絶大な人気を誇るが、二重国籍疑惑が報じられるなど論争も起きている。
フィギュアスケート男子の羽生結弦(はにゅう・ゆづる)は中国でも冬季スポーツのスターとして大人気だ。その羽生も「谷の影響力には及ばない」と中国メディアは指摘する。
実力は折り紙付き。スキーのコーチ経験がある母親の影響で幼少の頃から雪に親しんだ。15歳のとき、米国代表として出場した19年ワールドカップ(W杯)スロープスタイルで初優勝。ビッグエアとハーフパイプを含め、今季は出場全9戦で表彰台に立ち、うち6勝を挙げた。北京五輪では3種目ともメダル獲得が期待されている。
スキー競技は中国において発展途上で、これまでの冬季五輪で金メダルは1個だけ。そもそも、中国が1大会で獲得した金メダル数は10年バンクーバー大会の5個が最多だ。ただ、谷を擁する自信から、中国メディアの中にはこれを大幅に上回る「金10個」を期待する声もある。