松本市の建築、アートで照らす 初の芸術祭「相乗効果で新たな価値」

ミニマルを追求したロッテ・ライオンさんの彫刻群=長野県松本市のかわかみ建築設計室(原田成樹撮影)
ミニマルを追求したロッテ・ライオンさんの彫刻群=長野県松本市のかわかみ建築設計室(原田成樹撮影)

アルプスの山並みや国宝・松本城で知られる長野県松本市で、建築物とアートを融合する初の「マツモト建築芸術祭」が開催されている。アートディレクターのおおうちおさむ氏が声をかけた内外のアーティストが、19カ所の〝名建築〟を舞台に作品を制作した。同市の臥雲義尚市長は「普段見逃していた建物の魅力に気付いてほしい」と、豊かな都市景観について考える契機として期待を寄せた。

文化財や県宝も

松本市内には、松本城と旧開智学校という2つの国宝建造物がある。そのほかにも、戦災や建て替えなどから免れた明治や大正、昭和初期などの建物があり、中には国登録有形文化財や県宝になっているものもある。

今回の芸術祭のコンセプトは「名建築とアートの融合」で、アートも美術館に並ぶ芸術作品とは異なり、建築物に相乗効果で新たな価値・機能を加えるというのが主題。おおうちさんは「建築物とアートの2つともがメイン。アートを展示したい会場を探し、それぞれ呼びたいアーティストを呼んだ」と話す。

国登録有形文化財で松本市近代遺産でもある「かわかみ建築設計室」(旧松岡医院)は、大正14年頃に医院併用住宅として建設。外観を石造りのようにみせた木造2階建てで、内部は大正期の趣が残る診療所の間取りのままだ。

約100年前の装飾が全体に施されたこの建物の内部に、ウィーンを拠点に活躍する女性アーティスト、ロッテ・ライオンさんは、合板パネルでつくった机やいすのようなシンプルな彫刻を配置した。複雑と簡素、機能と無機能など対比を浮き上がらせる。

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