「上田新党」照準は次期衆院選 参院選前結成に慎重

昨年の衆院選に向け新党結成を模索した無所属の上田清司参院議員(73)は4日、新党構想の今後の展望について「現時点では一人で旗を振るような話になる」と述べ、今夏の参院選前の結党にはこだわらないと表明した。改選を迎える参院選埼玉選挙区(改選数4)への立候補に向けて埼玉県庁で開いた記者会見で明らかにした。目指す「中道」勢力結集を図る情勢にないと判断し、照準を次期衆院選に定めた形だ。

上田氏は埼玉選挙区に無所属で立候補する意向を示した。上田氏が参院で会派をともにする国民民主党は4日、参院選で上田氏を推薦すると決定した。

上田氏は記者会見で、参院選前の新党結成に慎重な考えを示す一方、「準備は進めている」「政権交代可能な政治状況が常にないと政治は劣化する」と述べ、自公政権に対峙(たいじ)できる勢力の構築に意欲を示した。

「(参院選は)政権選択の選挙だと思われていないので、衆院選に比べて有権者に切迫感がない」とも指摘し、次期衆院選を勝負どころと位置づける姿勢を強く示唆した。

先の衆院選では、共産党と共闘した立憲民主党が低迷したのとは対照的に、日本維新の会や国民民主党が支持を集めた。ただ、これら「中道」勢力が結集する機運が高まっているとはいえない。国民民主党は、小池百合子東京都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」との連携を図っているが、日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は、両者の接近に「選挙目当ての連携だ」と冷ややかな視線を送る。

上田氏は、参院選で推薦を受ける国民民主党について「日本維新の会や都民ファーストの会とそれなりの関係がある」と評し、結集の要となる可能性に期待を示した。

とはいえ、公認ではなく推薦にとどまったということは、今後の野党再編に向け上田氏がフリーハンドを確保したとも解釈できる。知事を4期務めた埼玉県の厚い地盤を足場に、結集の旗印を打ち出すタイミングを計っているのかもしれない。(中村智隆)

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