防護服で熱烈歓迎 仏頂面が定番の審査官が〝驚きの一言〟

空港に到着した五輪関係者は中国海関(税関)と書かれた防護服の職員に案内された=1日、北京首都国際空港(彦野公太朗撮影)
空港に到着した五輪関係者は中国海関(税関)と書かれた防護服の職員に案内された=1日、北京首都国際空港(彦野公太朗撮影)

北京五輪の開幕を4日に控え、産経新聞の取材班が1日、現地に入った。新型コロナウイルス禍の中、防護服に身を包んだ空港職員は海外の大会関係者らを笑顔で出迎え、熱烈歓迎を演出。一方で中国当局はわずかな感染拡大も許さない「ゼロコロナ」政策を掲げており、選手団や大会関係者と外部の接触を遮断する「バブル方式」の徹底ぶりもうかがえた。

チャーター便で到着した日本の報道関係者らを出迎えた空港職員は、ほぼ全員が防護服にゴーグルの〝フル装備〟。到着客を待っていたのはサーモグラフィーによる検温、そして続けざまのPCR検査だった。検体を採取するのは鼻と喉の2カ所。だが、女性の検査担当者に綿棒で喉を強くこすられ、えずきそうになった。大会組織委員会が感染防止対策をまとめた規則集「プレーブック」によると、大会関係者は毎日、PCR検査を受ける必要がある。

「ハッピー・バースデー!」。隣のカウンターの男性入国審査官が突然、声を上げた。到着客の誕生日だったようだ。これまでの経験では北京の入国審査官といえば仏頂面が定番だったが、フレンドリーな中国を演出したのだろう。大会記者証の手続きを行うカウンターでも、担当者たちがゴーグルの奥で笑みを浮かべ、両手を振りながら「ハロー」と出迎えていた。

入国手続きはスムーズで、着陸から1時間足らずで空港を離れることができた。大会関係者は空港から専用バスで競技会場やホテルなどに向かう。運転手と客席はアクリル板で完全に遮断されていた。

東京五輪で多くの〝抜け穴〟が指摘されたバブル方式だが、北京五輪は東京のそれよりも格段に厳しい。関係者が宿泊するホテルの周辺には、2メートルを超える高さのフェンスが張り巡らされ、ホテルの入り口は専用バスが出入りするとき以外は固く閉ざされたまま。ホテルの近くには警察官の詰め所が設置され、厳しい監視の目を光らせている。

中国では1月末から春節(旧正月)の大型連休が始まった。コロナ禍で帰省は制限されているが、北京の街中は、多くの人が帰省して閑散としていたコロナ前と同じように人通りが少なく、通行車両もまばらだ。地元在住の中国人記者は「北京でもコロナの感染者が出て市民の間に恐怖心が広がったこともあり、五輪は盛り上がりに欠けている」と話した。(北京 西見由章)

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