中国の新疆(しんきょう)ウイグル、チベット、内モンゴルの各自治区や香港での人権問題に関する決議が1日午後、衆院本会議で採択される運びだ。人権弾圧を重ねる中国政府への非難と、被害者救済の法整備に向けた立法府の決意を表明するはずだった決議文は、「中国」が一度も登場せず、与党の合意形成の過程で「非難」「人権侵害」といった重要な表現も消えて骨抜きの内容になった。構想から採択までの決議文案の変遷をたどった。
中国共産党政権による人権弾圧を非難する国会決議の構想が浮上したのは、約1年前の令和3年1月だった。米国では前年の12月、チベットでの人権弾圧を批判し、人権や信教の自由を擁護するチベット人権法が成立。これを受け、チベット亡命政権の代表機関、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所が、超党派の「日本チベット国会議員連盟」の事務局長だった自民党の長尾敬衆院議員(当時)に日本版チベット人権法の制定を求めた。
同議連で協議したが、チベット自治区ラサへの領事館設置など、実現困難な事項は日本の法律になじまないと判断し、まずは法整備の前提となる国会決議に取り組むことにした。