千葉県が世界の4分の1を産出する天然資源「ヨウ素(ヨード)」から作った粉末状の「ヨウ素酸カリウム」が、ヨウ素欠乏症に苦しむアフリカ南部の島国マダガスカルに贈られることになり、31日、県庁で贈呈式が行われた。順調にいけば2月2日に横浜港を出発し、3月7日に同国に到着する。
ヨウ素が不足すると、胎児や乳児の発達に深刻な悪影響を及ぼすことが知られている。同国へのヨウ素の支援は平成30年に始まり、今回で4回目。総世帯数の1割に行き渡る計850キロ分が贈られ、現地では食塩に混ぜる形で摂取される。
ヨウ素は千葉県産で、日本ヨウ素工業会が提供。京葉天然ガス協議会が輸送費の協力を行った。
贈呈式では、15年ほど前に個人的に同国を旅行したことがあるという熊谷俊人知事が「人々が健康に成長していく上で不可欠なヨウ素が不足しているマダガスカルの皆さまに、千葉県が貢献できるのを大変うれしく思う」と挨拶。駐日マダガスカル臨時代理大使のランジャザフィ・ツィラヴ・マエリゾ氏は「マダガスカルを代表し、県民と日本の皆さまに感謝を申し上げます」などと応じた。
ヨウ素は、県の地下に広がる国内最大級の天然ガス鉱床「南関東ガス田」から天然ガスとともに産出される。海外支援は平成8年度に開始。支援国は医師らで作る「成長科学協会」(東京都)が決め、これまでにモンゴルやカンボジア、スリランカなどに贈られた。