水も飲めぬのどの痛みも 往診医師が明かす第6波の現場

自宅療養者を往診する小林正宜院長(右)。のどの痛みを訴える患者が多いという(KISA2隊提供、一部画像処理しています)
自宅療養者を往診する小林正宜院長(右)。のどの痛みを訴える患者が多いという(KISA2隊提供、一部画像処理しています)

新型コロナウイルス感染の急拡大により、大阪府内の自宅待機患者は30日、7万7千人を超えた。31日以降は40歳未満で重症化リスクがない感染者に保健所が電話連絡することはなくなるため、府は相談窓口の電話回線を増設し、支援を強化する。こうした中、昨年9月から自宅療養者の往診を続ける医師が産経新聞の取材に応じ、感染「第6波」の現場の実態を明かした。

布団にくるまり座椅子にもたれかかる50代の女性。かすれた声で「せきをしたらしんどい」と訴える。傍らでは娘が心配そうな表情で見つめていた。

府内の医師らでつくる往診チーム「KISA2隊」の一員である「葛西(かっさい)医院」(大阪市生野区)の小林正宜(まさのり)院長(39)は今月14日、女性宅を訪れた。

女性は11日に発症し、13日に別の医師が診察。のどの痛みが治まらず、往診前に電話で「どうしよう」と不安を訴えてきた。小林院長は錠剤型の鎮痛薬を砕いて飲むようアドバイス。往診時は「焼けつくような痛さはなくなった」と多少安心した様子だったという。

女性は10~20代の娘2人と10代の息子1人との4人暮らし。全員がコロナに感染し、のどが痛くなった。唯一ワクチンを接種していなかった息子は、のどの奥がはれて最悪の場合、窒息死する「急性喉頭蓋(こうとうがい)炎」の可能性もあり、入院した。

「葛西医院」の小林正宜院長
「葛西医院」の小林正宜院長

小林院長によると、のどの痛みはオミクロン株感染者に顕著な症状で「ひどい場合は水も飲めないほど痛くなる」という。

デルタ株が拡大した昨年6~12月の感染「第5波」の際は肺炎などで苦しくなり、中和抗体の点滴薬「ロナプリーブ」を投与する患者が少なくなかった。オミクロン株の場合は呼吸が比較的安定しており、点滴薬「ソトロビマブ」を使う機会は少ないという。

オミクロン株は重症化率が低いとされるが、ワクチンを2回接種しているかどうかで症状は異なる傾向にある。ワクチン接種者の症状は発熱やせき、のどの痛みなどで「風邪と区別がつかない」。一方、未接種者は本人も気づかぬうちに血中酸素飽和度が中等症レベルまで低下することがあり、「こんなにしんどいとは」と漏らす患者もいる。小林院長は言う。

「往診患者の大半がワクチンを接種していない。本来は発症翌日から10日目で療養期間が終わるはずが、解除されない人もいる。デルタ株と比べてよくなっている印象はない」

今月中旬以降、往診の依頼件数はチームで対応できる1日最大6件程度を超えることも。小林院長は府民に「まずは基本的な感染対策が大切。症状があれば放置せず、医療機関に相談してほしい」と呼びかけた。

相談支援体制を強化

大阪府が定めた新型コロナウイルス患者の入院・療養基準では、40歳未満で重症化リスクがない人は自宅療養となる。30日時点で自宅待機患者(療養先調整中を含む)は約7万7600人。早期治療による重症化防止を目指す府は、相談窓口の利用を呼びかけている。

府が昨年11月に開設した24時間対応のコールセンター「自宅待機SOS」は、これまで150回線だったが、今月29日から午前8時~午後9時は200回線とし、2月5日からは同時間帯で300回線に増やす。

府によると、今月1~23日に受け付けた相談9158件のうち、83%は症状以外の「その他の相談」で、療養の期間や解除▽基礎疾患の管理▽外来・オンライン診療の医療機関-など。

今月1日に1件だった相談件数は27日に最多の2703件に上り、同日までに延べ431人を外来・オンライン診療に案内、244人は中和抗体薬による治療につなげた。宿泊療養施設への入所も勧めている。

府医師会も24日、昨年設置した大阪市内の自宅療養者向け受診相談窓口を再び開設。保健所と連絡が取れない患者に医療機関を案内している。

自宅待機SOSは0570・055221、府医師会の相談窓口は06・7777・1374(平日午前10時~午後4時)。(尾崎豪一)

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