主張

共通テスト不正 ネット頼らず地道に学べ

ネット時代のあきれたカンニングが発覚した。大学入学共通テストで試験時間中に問題を撮影して送り、東大生らに答えさせる新手の方法だ。

警視庁が、入試業務を妨げた偽計業務妨害の疑いで捜査していたところ、19歳の女子大学生が出頭し、「1人でやった」と認めた。

上着の袖にスマートフォンを隠して行ったという。入試シーズン真っただ中で、入試の公正さを損ない、受験生らの不信や不安が広がりかねなかった。警視庁は書類送検する方針というが、経緯などの解明を通し、再発防止につなげてもらいたい。

出頭したのは大学1年の女子学生で、別の大学への入学を目指していた。今月15日の共通テストの「世界史B」の試験中に問題用紙を撮影し、ネットの通信アプリで、その画像を送り、東大生に解答を依頼した疑いがある。

世界史以外についても複数の学生に依頼しようとした疑いがあるが、「ばれたらまずいと思い、他の教科はやらなかった」としている。「成績が上がらず魔が差した」ともいう。動機は安易だが、家庭教師紹介サイトで優秀な「解答者」を見つけるなど、ネット世代特有のやり方だ、と感心してもいられない。

約10年前の平成23年には、京都大入試などで、予備校生が試験時間中に隠れて携帯電話を使い、ネットの質問サイトに問題を投稿し、第三者に解答させる事件があった。予備校生は偽計業務妨害の疑いで逮捕された。

これを契機に電子機器などを悪用できないよう各大学で対策が強化された。共通テストでも試験前にスマホなどの電源を切らせ、使えないようにしている。

カンニングは昔からある問題だが、眼鏡型のようなウエアラブル端末など電子機器の進歩は著しく、試験中の監督にも限界があるとの指摘がある。入試に限らず学内試験などでもサイバー不正が近年問題になっているという。

だが疑心暗鬼になっても始まらない。行き過ぎた監視より、受験生が集中できる環境が大切だ。不正合格しても自分のためにならないと説くのも教育の役割であろう。不正には失格や重いペナルティーがあるのはもちろんだ。

卑怯(ひきょう)な手段を考える暇があるなら真面目に勉強してもらいたい。地道な努力が勝利への近道だ。

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