主張

佐渡金山推薦へ 悪宣伝排し登録に全力を

「佐渡島の金山」(新潟県)を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録するため、政府は期限の2月1日までに推薦書を提出することを決めた。

政府内では一時、推薦の見送りが検討されていた。推薦は当然である。推薦を見送れば、朝鮮半島出身者が過酷な労働に従事したと反発する韓国の批判に屈することになった。

政府は登録に向け、韓国に対して事実に基づき毅然(きぜん)と反論し、国際社会の理解を求めるべきだ。

岸田文雄首相は28日、見送り方針を撤回した理由について「本年、申請を行い、議論を開始することが登録実現への近道であるという結論に至り申請することにした」と説明した。これは、与野党から見送り方針の撤回を求める声が上がり、自らの言葉で推薦の意義を語る必要があったからだ。

自民党の高市早苗政調会長は推薦見送りの検討を「日本の名誉に関わる問題だ」と批判し、立憲民主党の小川淳也政調会長も「歴史的な文化遺産の推薦決定が望ましい」と述べていた。

韓国側は佐渡金山を「強制労働させられた被害の現場だ」と批判するが、昭和15~17年に佐渡金山で働いていた朝鮮半島出身者には給与が支払われていた。登録の申請対象は江戸時代で、韓国が問題視する戦中、戦後ではない。推薦を見送れば韓国の不当な主張を認めたことになっていた。

韓国側は今後も登録阻止に向けた動きを強めるだろう。平成27年に登録された世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」をめぐっては、韓国側は端島炭坑(通称・軍艦島)を標的に、朝鮮半島出身者が強制労働をさせられたと激しい宣伝戦を仕掛けた。日本人の写真を朝鮮半島出身者とする歪曲(わいきょく)まで明らかになったが、それでも日本側は登録と引き換えに、「犠牲者を記憶にとどめるための適切な対応」を約束させられた。

懸念するのは、推薦をためらった政府の弱腰が、準備不足につながっていないかである。加盟国の理解が得られず、登録が拒否されれば、再推薦はできない。

佐渡金山は政府の文化審議会が昨年末、令和5年の登録候補とした。江戸時代、採掘から製錬まで伝統的な手工業で行われていた貴重な産業遺産である。政府は誇りをもって推薦し、登録に全力を挙げなくてはならない。

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