北京冬季五輪に臨む日本選手団の結団式が29日、東京都内で行われ、主将でスピードスケート女子の高木美帆(日体大職)や旗手を務めるスピードスケート女子の郷亜里砂(イヨテツク)らが記者会見で決意を新たにした。
日本選手団は総勢262人。選手数は海外開催の冬季五輪史上最多となる124人で、伊東秀仁団長は「競技力を伸ばし、多くの出場枠を獲得できた成果」と誇った。
30日の出国に向けたPCR検査では、日本選手団本隊(83人)全員の陰性が確認されたという。伊東団長は「北京に向かって飛び立てることに安堵(あんど)している」と語った。
◇
史上最多のメダル獲得に沸いた昨夏の東京五輪から、半年で迎える冬の祭典。日本選手団は、冬季五輪最多の13個のメダルを手にした前回の平昌五輪に勝るとも劣らない陣容が整った。「(新型コロナウイルス禍で)海外で戦う機会が非常に少なく、尺度を図るのは大変難しいが、気持ちとしては平昌大会を超えるくらいのメダルはとりたい」と伊東団長。東京の勢いを、北京にも持ち込む。
スピードスケート女子では、高木美が本命の1500メートルや2連覇がかかる団体追い抜きなどで、前回に続くメダル量産を狙う。500メートル平昌女王の小平奈緒(相沢病院)も控え、フィギュアスケート男子の羽生結弦(ゆづる)(ANA)は3連覇に挑む。スキー競技は、今季ワールドカップ(W杯)6勝の小林陵侑(りょうゆう)(土屋ホーム)、前回銅メダルの高梨沙羅(クラレ)が金メダル候補のジャンプ勢、男女ともメダル候補を擁するモーグル勢は頼もしい。スノーボード競技は、男子ハーフパイプや、女子ビッグエアで表彰台独占も狙える。
新型コロナ禍で行われるのも昨夏と同様。選手は徹底した感染対策が求められ、スキージャンプでは今月国内で開催予定だったW杯が中止となるなど、調整は過去大会より難しい。ただ、困難に打ち勝ち、ベストを尽くすアスリートの姿が国民を勇気づけることは、「東京」が実証した。これこそ、スポーツが持つ力でもある。
日本も政府代表団の派遣見送りを決定するなど、スポーツ以外での注目も集まる大会で、スポーツの意義をどこまで見せられるか。伊東団長は「五輪を通してスポーツが持つ価値、力を広く国民に伝えるとともに、心ひとつに全身全霊で臨む」と力強く宣言した。(小川寛太)